PENTAX(ペンタックス)旭光学のフィルムカメラ代表機種まとめ 小型軽量一眼レフの魅力とは!?
いまもデジタル一眼レフカメラで独特の存在感を持つカメラブランド、PENTAX(ペンタックス)。
もともとは、フィルム一眼レフカメラに始まるブランドです。
「ペンタ」とは五角形のこと。
一眼レフカメラのファインダーに用いられる「ペンタプリズム」に由来するネーミングです。
PENTAXの特徴は、フィルムカメラの時代も、現代のデジタル一眼レフカメラでも、小型かつ軽量だということ。
持ち運びやすく、軽快な使用感が味わえる。
それこそがPENTAXの持ち味なのです。
今回は、PENTAX(旭光学)のフィルムカメラの代表機種について紹介したいと思います。
目次
PENTAXのフィルムカメラ代表機種 M42マウント一眼レフ編
のちにペンタックスという社名になる旭光学が初めて一眼レフカメラを発売したのは1952年のこと。
国産初の一眼レフカメラ、Asahi Flex(アサヒフレックス)に始まります。
そして1957年には、ペンタプリズムを搭載したAsahi PENTAXが登場。
この初代Asahi PENTAX以降のカメラはM42スクリューマウント(ねじマウント)を採用し、世界中の一眼レフカメラを席巻することとなるのです。
0:Asahiflex(アサヒフレックス、1952年~)
↑Asahiflex I型
この記事ではもともと、M42マウントの機種から紹介が始まっていましたが、やはり旭光学・ペンタックスのカメラを紹介するにあたってAsahiflex(アサヒフレックス)に触れないわけにはいきませんでした。
Asahiflexについても簡単に紹介します。
Asahiflexは旭光学の一眼レフカメラ。
まだペンタプリズムは採用されておらず、ウエストレベルファインダーです。
マウントはAsahiflex各機種ともM37マウントという独自のスクリューマウントです。
1952年にI型が登場。
その時点ではシャッターボタンを押すとミラーが上昇し、離すと下降するエバーリターンミラーでしたが、1954年のIIb型でクイックリターンミラーを採用。
これは大量生産された実用機としては実質的に初めてのもので、一眼レフの問題点だったブラックアウトをほぼ解決、一眼レフが広く受け入れられるうえで非常に重要なマイルストーンとなったのでした。
↑画像はIIb型にスローシャッターのついたIIa型
1.Asahi PENTAX(アサヒペンタックス初代、AP、1957年)
“AsahiPentax AP.jpg” by Andriy Matusevich
この作品はWikimedia CommonsにアップロードされたAndriy Matusevichさんの作品”AsahiPentax AP.jpg”を改変して制作しました。
この作品は表示 – 継承 3.0 非移植 (CC BY-SA 3.0)ライセンスの下に提供されています。
1957年に登場したAsahi PENTAX(アサヒペンタックス)は、旭光学の一眼レフとしては最初にペンタプリズムを用いたアイレベルファインダーを搭載した機種です。
Asahi PENTAXはのちにブランド名になっていくため、この初代Asahi PENTAXは「PENTAX AP」などと通称される場合もあります。
マウントはM42マウント。
このM42マウントがその後長らく受け継がれていくこととなります。
ボディの基本形態はこの時点で初期のM42マウント機のものが確立しており、完成度は良好。
ただし、この時点では絞りは自動絞りになっていません。
スローシャッターはボディ前面にダイヤルがある形式です。
2.Asahi PENTAX K(アサヒペンタックスK、1958年)
※画像はジャンク品
Asahi PENTAX K(アサヒペンタックスK)は初代Asahi PENTAX(AP)の改良機種。
シャッター速度が1/500までだったAPから、1/1000の高速シャッターを搭載。
さらに最大の改良点が、絞りが半自動絞りになったこと。
Auto Takumar(オートタクマー)レンズと組み合わせることで、撮影前に半自動絞りのチャージこそ必要なものの、レリーズ時に自動で絞り込まれるようになりました。
カメラ名のKは一眼レフの王、King of SLRに由来しており、このKという名称は1975年のAsahi PENTAX K2、Kマウントやデジタル一眼レフのKシリーズに至るまで受け継がれています。
3:Asahi PENTAX S3(1961年)
“Pentax S3.JPG” by Foma39
この作品はWikimedia CommonsにアップロードされたFoma39さんの作品”Pentax S3.JPG”を改変して制作しました。
この作品は表示 – 継承 3.0 非移植 (CC BY-SA 3.0)ライセンスの下に提供されています。
まず最初に紹介するのが、Asahi PENTAX S3(アサヒペンタックスS3)。
PENTAXのM42マウント一眼レフとして、ひとまずの機能的完成をみたモデルです。
これ以前のPENTAX一眼レフは機構的に未成熟で、二軸式のシャッターダイヤルなど、各所に旧式な部分がみられます。
このAsahi PENTAX S3は、PENTAXの一眼レフではじめて、「完全自動絞り」を搭載したモデル。
前機種のAsahi PENTAX S2では対応レンズは半自動絞りのAuto Takumar(オートタクマー)でしたが、このS3ではレンズも完全自動絞りのSuper Takumar(スーパータクマー)となりました。
このS3と似通ったモデルとしては、セルフタイマー内蔵のAsahi PENTAX SV、廉価機種のAsahi PENTAX S2 Superなどがありますが、現代の目から見るとどれも使用にあたっては大差ありません。
4.Asahi PENTAX SV(1962年)
Asahi PENTAX S3にセルフタイマーを搭載した機種です。
多くの35mmフィルムカメラのセルフタイマーはボディ前面にレバーがありますが、このAsahi PENTAX SVでは巻き戻しクランクの周りに絞りチャージのダイヤルがあるのが変わっているところ。
同様の形態のAsahi PENTAX S系機種には多くの種類がありますが、このSVが完成形といって差し支えないでしょう。
次のPENTAX SPで、M42マウントのAsahi PENTAXは根本的に改良されることとなります。
5:Asahi PENTAX SP(1964年)
世界的ベストセラー機種。
1960年代を代表する国産フィルム一眼レフカメラであり、M42スクリューマウントの代表的機種。
それがAsahi PENTAX SP(アサヒペンタックスSP)です。
一般にペンタックスSPと呼称されるこのカメラ。
特徴は絞り込み測光のTTL露出計を搭載したこと。
フィルム一眼レフカメラとしてTTL露出計を搭載した最初期のモデルで、一挙に露出計内蔵一眼レフが普及する契機となりました。
さらに、それまでのAsahi PENTAXではレンズマウント周りが金属プレスで作られた、あまり堅牢とは言えない構造でしたが、本機以降ボディダイキャストが一新され、より精度と信頼性が向上しました。
全世界で数百万台を売ったベストセラー機種で、入手は非常に容易です。
詳しくはこちら
バリエーションとして、露出計を省いたAsahi PENTAX SL(アサヒペンタックスSL)、ホットシューを搭載したAsahi PENTAX SP2(アサヒペンタックスSP2)があります。
6:Asahi PENTAX ES(1971年)
Asahi PENTAX ESは、PENTAX初のAE搭載フィルム一眼レフカメラ。
世界初の絞り優先AE一眼レフカメラでもあり、内部機構は電子化されています。
ESとは、Electro Spotmaticの略。
M42スクリューマウントを独自拡張し、開放測光に対応しています。
マイナーチェンジ機種のAsahi PENTAX ES IIが存在します。
7:Asahi PENTAX SPF(1973年)
上記のESで導入された開放測光を、機械式カメラのSPにフィードバックした機種です。
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PENTAXのフィルムカメラ代表機種 KマウントMF一眼レフ編
1975年、PENTAXはそれまでのM42スクリューマウントから、バヨネットマウントのKマウントに移行します。
仕様が公開された「ユニバーサルマウント」のKマウントは、M42マウントとの互換性も考慮。
無事移行に成功し、マイナーチェンジを繰り返しながら現代のデジタル一眼レフにまで受け継がれています。
Kマウントについてはこちらの記事も御覧ください。
8:Asahi PENTAX K2(1975年)
1975年、Kマウントの移行時に発売された一眼レフカメラのフラッグシップ。
それがAsahi PENTAX K2です。
絞り優先AEを搭載し、シャッターは縦走り金属幕の電子式と、のちのMEシリーズを予感させるスペックを持つカメラ。
改良版としてK2DMDが存在し、こちらはモータードライブ対応のほか、絞り値直読み窓が追加されています。
9:Asahi PENTAX KX(1975年)
1975年のKマウント移行時に発売された3機種のひとつ。
KXは、「MX」「LX」と並ぶPENTAXの名機、「3X」のひとつとして人気の高いフィルム一眼レフカメラです。
内部構造はAsahi PENTAX SPを受け継いだ機械式、布幕横走りフォーカルプレーンシャッター。
それでいて、上位機種のK2にはなかった絞り値直読み窓を最初から備えています。
10:Asahi PENTAX KM(1975年)
Kマウント移行時に発売した中でも普及期に位置づけられるのが、Asahi PENTAX KM(アサヒペンタックスKM)です。
特別な機能は一切なく、基本的にはAsahi PENTAX SPFのマウントを変更しただけのカメラ。
しかし、非常に堅実な設計のため、名前をPENTAX K-1000と改め、生産を国外に移しながら1990年代後半まで販売されるロングセラーとなりました。
K2・KX・KMのKシリーズについてはこちらの記事で解説しています。
11:Asahi PENTAX MX(1976年)
Asahi PENTAX MX(アサヒペンタックスMX)は、PENTAXのフィルム一眼レフのなかでも1、2を争う人気機種。
「最小の機械式一眼レフ」として有名です。
このAsahi PENTAX MXは、同じく小型軽量のオリンパスOM-1を強く意識しており、各部寸法は、OM-1よりちょうど0.5mmずつ小さくなっています。
露出計はLEDを採用。
シャッターが完全に機械式なのが人気の秘密です。
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12:Asahi PENTAX ME(1976年)
上述したMXと前後して登場したMEは、同じMシリーズながらまったくコンセプトの違うカメラ。
このAsahi PENTAX ME(アサヒペンタックスME)は、なんと絞り優先AE専用カメラなのです。
当然シャッターは電子式。
ボディサイズはMXよりも更に横幅が小さく、非常に小型となりました。
フィルムカメラの中でも一眼レフが普及していく中で絞り優先AE専用機が各社から発売されましたが、このMEはその先駆者であるといえるでしょう。
なお、この機種の廉価版としてPENTAX MV-1が設定されましたが、そのMV-1以降、ブランド名が「Asahi PENTAX」から単に「PENTAX」に変更となります。
13:PENTAX ME Super(1979年)
MEの後継機が、PENTAX ME Superです。
MEは絞り優先AE専用でしたが、こちらはシャッター速度の手動設定が可能となりました。
しかしその方式は非常に特徴的。
なんと、押しボタンを使ってシャッター速度を設定するのです。
このボタン操作は、その後一時期のPENTAXフィルム一眼レフカメラの特徴となりました。
14:PENTAX LX(1980年)
「PENTAX唯一のフラッグシップ」。
PENTAX LX(ペンタックスLX)は、PENTAXのフィルムカメラの中でも唯一の、完全にプロ用として開発・設計されたカメラです。
1970年代中頃から時間をかけて開発されたボディは、ふんだんにコストがかかったもの。
完全防塵防滴仕様、製造が難しい浮き彫りが施されたシャッターダイヤルなど、他のPENTAX製カメラとは格が違う使い心地を味わえます。
それまで大衆向けフィルムカメラのイメージが強かったPENTAXが、NikonやCanonへの対抗馬として生み出したLX。
もしPENTAXのフィルムカメラが好きなら、このLXは絶対に手にしてみることをおすすめします。
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PENTAXのフィルムカメラ代表機種 KマウントAF一眼レフ編
続いて、オートフォーカスの名機たちを紹介します。
15:PENTAX Z-1(1991年)・Z-1P(1994年)
PENTAXのオートフォーカスフィルム一眼レフカメラのなかでも、初期の名機として有名なのがZ-1と、マイナーチェンジバージョンのZ-1P。
最大の特徴が、AEとマニュアル操作をシームレスに移行できる「ハイパーマニュアル操作系」です。
PENTAXのデジタル一眼レフにまで受け継がれている独自の操作体系で、このハイパーマニュアルが使いたいがためにPENTAXを選び続ける人もいるくらいの使いやすさだといわれています。
16:PENTAX MZ-5(1995年)
PENTAX MZ-5(ペンタックスMZ-5)は、当時機能的に肥大化しつつあった、各社のオートフォーカスフィルム一眼レフカメラのアンチテーゼとして開発されたカメラ。
使いやすい操作系と魅力的なルックスから、PENTAXとして久々のスマッシュヒットとなりました。
特徴が、機械式フィルムカメラを彷彿とさせる、ダイヤル中心の操作系。
シャッターダイヤルは機械式フィルムカメラ同様のボディ上面に配置。
絞りの操作は、当時のAF一眼レフカメラは既にボディ側での操作が多数派になっていましたが、あえてレンズ側の絞りリングを用いることとしました。
慣れ親しんだ操作方法が可能なことと、伝統的なルックスにより、フィルムカメラファンから一般ユーザーまで愛用される名機となったのです。
17:PENTAX MZ-3(1997年)
MZ-3は、ユーザーからのフィードバックを元にMZ-5の各部を改良したモデル。
一見するとあまり変わりがないようにも見えますが、AEロックの搭載など決定的な機能の違いがあるため、現在では中古価格もあまり変わらないこともあり、これから購入するならMZ-5よりもこちらがおすすめです。
またシャッターダイヤルの大型化など、操作性も向上しています。
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18:PENTAX MZ-S(2001年)
PENTAX MZ-S(ペンタックスMZ-S)は、PENTAX MZシリーズのフラッグシップとして開発された機種ですが、各部の操作体系、そしてカメラ自体の見た目が大きく異なることから、フィルムカメラファンの間では独立した、他のMZシリーズとは別のカメラと捉えられることが多いです。
ハイパーマニュアル、ハイパープログラムなどPENTAX独自の操作系を受け継いだ「ハイパーオペレーティングシステム」を搭載し、使用感はPENTAXのAF一眼レフカメラとして完成形に近いものとなっています。
独特な外見から、ウルトラマンに登場する怪獣になぞらえて「ジャミラ」という愛称がフィルムカメラ愛好家につけられています。
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PENTAXのフィルムカメラ代表機種 中判編
PENTAXは35mmフィルムカメラだけでなく、中判フィルムカメラでも有名なメーカー。
645判と67判の中判カメラは、中判一眼レフカメラのなかでも世界を代表する存在です。
19:PETNAX 67シリーズ
67判の中判一眼レフカメラが、PENTAX 67シリーズ。
1969年のAsahi PENTAX 6×7にはじまり、1989年にマイナーチェンジ・改称してPENTAX 67に。
1998年には絞り優先AEを搭載した67IIにフルモデルチェンジしました。
これから購入する場合、信頼性の面から、製造年時の新しい67か67IIがおすすめです。
詳しくはこちら
20:PENTAX 645シリーズ
645判の軽快な中判一眼レフカメラ。
それがPENTAX 645シリーズです。
1984年のPENTAX 645
1997年のPENTAX 645N
2001年のPENTAX 645N II
上記3機種が存在。
どの機種もプログラムAE、絞り優先AE、シャッター優先AEを搭載したフルモードAE機。
645NとN IIはAFまで搭載しています。
機能面では、さまざまな中判フィルムカメラのなかでももっとも進歩したもの。
便利な操作系で、快適に中判を楽しむことができますよ。
詳しくはこちら
PENTAXのフィルムカメラ代表機種 110編
最後に、変わり種のカメラとして110フォーマットフィルムカメラを紹介します。
21:PENTAX Auto 110(1979年)
1970〜80年代にかけて、簡易な「ポケットカメラ」として流行した小型の110フィルム。
当時一眼レフ専業メーカーだったPENTAXは、なんとこの簡易なフィルムフォーマットに真面目に取り組みます。
PENTAX Auto 110(ペンタックス オート110)は、110フィルム唯一のシステム化したレンズ交換式一眼レフカメラ。
手のひらに乗る超小型ながら、広角から望遠まで各種交換レンズを取り揃えています。
1983年には改良版のAuto 110 Superにモデルチェンジしました。
現在ではフィルムの入手が難しいですが、交換レンズを、画面サイズのほぼ同じマイクロフォーサーズのミラーレス一眼にマウントアダプターで取り付けて楽しむ方が増えています。
ペンタックスのオールドレンズ
この記事で解説したフィルムカメラと同じ時代に作られた、ペンタックスのオールドレンズ。
描写性にすぐれた名玉がいっぱいです。
ペンタックスはレンズもおすすめ。
詳しくはこちらをご覧ください。
ペンタックスのオールドレンズを使うのにおすすめのアクセサリー
ペンタックスのM42マウントのオールドレンズは、Kマウントに変換して使用可能。
純正の「マウントアダプターK」もありますが、いまでは非純正のアダプターのほうが入手しやすい印象があります。
もちろん、M42マウントやKマウントのレンズをミラーレス一眼カメラで使うのもおすすめです。
ユーザー目線の一眼レフならPENTAX
PENTAXは、大衆向けのフィルムカメラに強みを持っているメーカー。
フラッグシップ機のPENTAX LXを含めて、ユーザーのことを第一に考えた使い心地を味わうことができますよ。
これからフィルムカメラを始める方にもおすすめできるメーカーです。
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どこでも持ち歩ける相棒です。
更新履歴
2022年8月25日
Asahiflex、AP、K、SVについて加筆。
画像が抜けていた箇所にすべて画像を追加(一部、Wikimedia Commonsよりライセンスを表示したうえで画像を引用)。
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