Nikon(ニコン)FM10/中古で手軽に手に入るフィルム一眼レフ・ニコンFM10とはどんなカメラ?
Nikon FM10(ニコンFM10)とはいったいどんなカメラなのでしょうか?
その特徴、スペック、中古で購入する際のおすすめポイントについて紹介します。
これから中古でフィルム一眼レフを手に入れるとき、ぜひ使ってみたいのがニコンのカメラ。
日本が誇る高性能「ニッコールレンズ」は、ぜひフィルムで楽しんでみたいレンズです。
そんなニッコールレンズを手軽に楽しみたいとき、ぜひおすすめしたいカメラがニコンFM10。
中古価格もこなれていて、入手性もよいカメラです。
またニコンFM10は、ニコンF6と並んで、デジタルカメラが主流となった後も販売され続けている貴重な機種でもあります。
今回は、そんなニコンFM10とはどんなカメラなのか解説したいと思います。
目次
Nikon FM10(ニコンFM10)
中古で手軽に手に入るフィルム一眼レフ。
ニコン最後の機械式一眼レフ。
それがFM10です。
まずはニコンFM10の特徴について見ていきましょう。
Nikon FM10(ニコンFM10)の性能・スペック
形式 | 35mm一眼レフカメラ |
シャッター速度 | B、1秒〜1/2000秒 機械式 縦走り金属幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | TTL開放中央重点測光 |
AE | なし |
ファインダー | 視野率約92% 倍率約0.84倍 |
レンズマウント | ニコンFマウント |
対応レンズ | Ai以降の絞り環つきレンズ (非Aiレンズは使用不可) |
電池 | LR44(Amazon)x2またはSR44(Amazon)x2 |
発売年 | 1995年 |
ニコン最後のマニュアル一眼レフカメラ
Nikon FM10(ニコンFM10)は、ニコンのフィルムカメララインナップに最後に残った機械式一眼レフカメラ。
デジタルカメラがカメラの主流となるなかで、ニコンも2006年にフィルムカメラのラインナップを大幅に縮小することとなりました。
そんななかで残ったのが、このFM10、そして最上級機のF6。
ニコンFM10は入門機として、カメラの基本をフィルムで学ぶのに最適なカメラとして、販売が続けられることとなりました。
もともとは廉価機種が求められた海外市場向けに生まれた機種で、製品としては割り切りがみられるもの。
「FM」という代々続くネーミングからもわかるとおり、ニコンFM10は完全機械式のマニュアルカメラです。
露出、ピント、巻き上げ、すべてを手作業で行うカメラになります。
よく知られているようにニコンFM10は他社(コシナ)のOEM供給によるカメラですが、それでもFM10はニコンのカメラ。
ニコン独自の味付けがなされることで、非常に安心して使うことができるモデルとなっています。
また中古価格もリーズナブルなため、これからフルマニュアルの機械式フィルム一眼レフカメラを手に入れる場合、初めての選択肢としてもおすすめできる存在であるといえます。
フィルムカメラの基本が学べるカメラ
同じニコンFMシリーズのニコンNewFM2が、撮影のすべてを手作業で行ってカメラの基礎を学べるカメラとして写真学校の学生に愛用されていたように、ニコンFM10もまた、絞りやシャッタースピードといった撮影の基本について学ぶのに最適なカメラです。
操作方法は、他の多くのフィルムカメラと共通するオーソドックスなもの。
このニコンFM10が使えれば、他のどんなフィルムカメラでも使えるようになれると言っても過言ではありません。
使えば使うほど写真が上手くなるカメラ。
それがFM10なのです。
Nikon FM10(ニコンFM10)の機構的特徴
それでは具体的には、Nikon FM10(ニコンFM10)はどんな作りをしているのでしょうか?
性能的には、機械式フィルム一眼レフカメラとしていたって標準的なものです。
シャッター速度は最高速1/2000秒。
数値の上ではニコンF2といった往年の高級機と同等で、入門機でもこの数字が当たり前に実現されていることには技術の進歩を感じます。
シャッターもまた至って普通の縦走り金属幕フォーカルプレーンシャッター。
機構的に完成された「枯れた技術」のため、古い布幕シャッターを搭載した一眼レフと違って、中古でシャッターの調子が悪くなっている心配も少ないです。
中古のFMにおけるダンパーゴム劣化のような「持病」もとくに知られていません。
露出計もオーソドックスな中央重点測光。
露出計の表示はLED式で、FMやNewFM2を受け継いだともいえる形式となっています。
Nikon FM10(ニコンFM10)を選ぶことのメリット
OEM機種であるという一点において、他のニコンのカメラとは大きく異なるフィルム一眼レフカメラであるニコンFM10。
ニコンFM10をいま中古で手に入れて使うことにはどんなメリットがあるのでしょうか?
まず最大のメリットとして、中古価格が安価であることが挙げられるでしょう。
他のニコン直系のFMシリーズは、状態がよく安心して使える個体を探した場合、それなりの値段がしてしまいます。
あまりにも安価な中古は、状態があまりよくないことも考えられます。
またニコンFM10は機械式フィルム一眼レフカメラの設計が完成した後の時代に作られたカメラであるため、壊れやすい点や機構上の弱点がとくに存在しないことも、中古で良好な個体を探しやすいというメリットにつながっています。
また、ニコンFM10は他の機械式ニコンに比べて非常に軽量です。
ニコンFM10のボディ重量は420g。
いっぽうでNew FM2のボディ重量は540gと、大幅な軽量化を実現しているのです。
しかしボディはダイキャストのフレームを使用しているので、実用上の問題はまったくありません。
安価で小型、軽量。
そしてニッコールレンズがそのまま使えるカメラ。
これらの利点から、ニコンFM10は初めての方が中古で手に入れるフィルム一眼レフカメラとしてもおすすめできる存在だといえるのではないでしょうか。
Nikon FM10(ニコンFM10)には単焦点標準レンズがよく似合う
ではニコンFM10の性能を引き出すには、どんなニッコールレンズがおすすめなのでしょうか。
結論から言えば、ニコンFM10には単焦点標準レンズがもっともよく似合うのではないでしょうか。
ニコンFM10の新品販売時には35-70mmの標準ズームがセットにされたこともあったようですが、それよりも、中古の単焦点ニッコールを組み合わせることをおすすめします。
古くから写真の教科書代わりに使われてきたニコンFMシリーズ。
それだけに、使い方によって広角的にも望遠的にも撮影できる50mm標準レンズが最適です。
中古で玉数の多いニッコールレンズには50mm F1.4と50mm F1.8がありますが、あえておすすめするなら、F1.8のほうがより似合うといえるかもしれません。
F値は少し控えめですが、F1.4よりもコンパクトで、小型軽量のFM10によく似合います。
とくにパンケーキレンズに近い、Ai-sニッコール 50mm F1.8は最高に似合うレンズです。
軽量なボディに対してレンズが重すぎないので、ストラップを掛けたときの安定性に優れているのもおすすめポイントです。
なお、ニコンFM10はAi連動爪に跳ね上げ機構がないため、オートニッコールなどの非Aiレンズ(Ai改を除く)を取り付けることはできません。
また機械式マニュアルカメラのため、絞りリングのないデジタル一眼レフ用レンズを使用することもできません。
ニッコールレンズについてはこちらをご覧ください。
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Nikon FM10(ニコンFM10)とその兄弟たち
さて、ニコンFM10はコシナのOEMによる製品であることが広く知られています。
コシナのカメラは非常に多くのメーカーにOEM供給されており、中古市場にはニコンFM10の兄弟たちが数多く存在しています。
またニコンも、FM10の兄弟であるFE10を同じくコシナのOEMで販売していました。
ここではニコンFM10と同じ系列に連なる兄弟について紹介したいと思います。
OEMカメラとしてのニコンFM10
長野県中野市に所在するカメラメーカー、コシナ。
このニコンFM10の生みの親であるだけでなく、カメラ本体からレンズまでを一貫して製造することができる、世界的にも数少ないメーカーでもあります。
ニコンが海外市場向けに廉価機種としてFM10を販売するにあたり、このコシナを選んだのは、ひとえにコシナが非常に完成度の高いカメラを製造することができたからにほかならないでしょう。
ニコンは本来、他社のOEMに頼ることがあまりないメーカーでした。
歴史的に有名な存在として、初期の普及型一眼レフであるニコレックスF(マミヤのOEM)が知られていますが、その後は一貫して自社設計を貫いています。
そんな中でFM10をOEMとすることに踏み切ったのは、すでにフィルムカメラがAFに以降していたことが大きな要因なのではないでしょうか。
しかし、ここでOEM機種を用意していたことで逆に、フィルムカメラが退潮していくなかでも、販売ラインナップに機械式カメラを残すことが可能となったともいえます。
Nikon FM10(ニコンFM10)のOEM元からの改良点
ニコンFM10は、単にコシナの一眼レフのマウントをFマウントに変えただけのカメラではなく、いくつかの改良が施されています。
まず、ミラーの動作時のショックを抑えるミラーバランサーを追加していること。
また露出計の表示部は、元機種ではファインダーの視野に入り込むものでしたが、視野の外に移され、被写体がすべて見えるようになりました。
また、元機種にはなかったプレビューボタンが装備され、実際の絞り値まで絞り込んで被写界深度を確認することも可能です。
デザイン面では、同時代のニコンのカメラと同様、縦の赤ラインをまとっていることに、FM10があくまでもニコンのカメラであるのだということへの自信を伺わせます。
では、このニコンFM10のベースとなったカメラ、そして兄弟機にはどんなカメラが存在するのでしょうか。
ぜひ中古で見つけたら比べてみたい兄弟たちについて、簡単に紹介しようと思います。
コシナCT-1シリーズ
ニコンFM10をはじめ、数々のOEM機種のベースとなったカメラ。
それがコシナCT-1スーパーです。
コシナCT-1スーパー(1983年発売)は、コシナオリジナルの一眼レフ、コシナCT-1のシャッター最高速を1/2000秒としたモデル。
途中で外観のモデルチェンジが行われていますが、基本的に同一の機構を受け継いで製造が続けられています。
マウントはペンタックスKマウントで、ペンタックスやリコーをはじめとする多彩なKマウントレンズを中古で楽しむことが可能です。
キヤノンT-60
キヤノンT-60は、コシナCT-1スーパーをベースに、キヤノンFDマウントを採用した機械式一眼レフカメラ。
他のキヤノンTシリーズがワインダー内蔵・AEでの使用を売りにしたカメラであるのに対して、プリミティブな性能を持つ点で異色の存在となっています。
このカメラが生まれた理由が「海外市場の要望」であることも、ニコンFM10と似た経緯を持った存在であるといえます。
1990年、海外限定で発売。
オリンパスOM2000
1997年発売。
オリンパスOMシリーズ最後の新機種であるとともに、コシナCT-1スーパー由来の構造を受け継いだため、その他のOMシリーズと操作方法が大きく異なるカメラでもあります。
他のOMシリーズはシャッターダイヤルがレンズ基部にありますが、OM2000はシャッターダイヤルが通常の位置にあることが大きな違いとなります。
Voigtlander BessaFlex TM
コシナがVoigtlanderブランドで発売した一眼レフです。
特徴は、M42スクリューマウントを採用したこと。
操作方法は基本的にASAHI PENTAX SPを踏襲しており、中古のM42マウントレンズを楽しむことに特化した趣味のカメラです。
他のCT-1スーパーをベースとしたカメラがプラスチック外装なのに対し、本機は金属外装であることもポイントです。
シルバーとブラックで軍艦部のデザインが異なります。
Voigtlander Bessaシリーズレンジファインダーカメラ
実はコシナ・Voigtlanderのレンジファインダーカメラも、ニコンFM10と同じくCT-1スーパーをベースとした構造です。
CT-1スーパーからミラーボックスを取り除き、レンジファインダーを載せた。
それ以外、基本的なシャッター機構などは同一となります。
コシナ・フォクトレンダーについて詳しくはこちら
そして、ニコンFE10
最後に、ニコンFMの直接の兄弟機種として、FE10が存在しています。
ニコンFE10もまた、コシナのOEMによる製品。
ニコンFM10が機械式のFMシリーズを受け継いだカメラであるのと同じく、ニコンFE10は電子式シャッター・絞り優先AE搭載のFEを受け継いだカメラです。
外装をはじめ多くの部品をFM10と共有しており、使用感も当然ながら非常に似通っています。
ニコンFM10の製造が長く続いているのに対し、ニコンFE10は早い時期に製造を終了しています。
ニコンのカメラ製品については、こちらの記事でまとめています。
ぜひ併せてご覧ください。
OEMでもニコンはニコン。ニッコールの切れ味を楽しもう
ニコンFM10は、小型軽量・中古も安価なOEM機種ながら、伝統のFマウントにニッコールレンズを取り付けられる一点において、写真を撮影するのになんの不足もない機種であるといえます。
むしろ機構的に完成しきっているため、安心して使うことができる機種であるともいえるのではないでしょうか。
フィルムカメラにおいて、写真の善し悪しを決めるのはボディよりレンズ。
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