Zenza Bronica(ゼンザブロニカ)ETRシリーズ/機能美あふれる645判システム一眼レフ
Zenza Bronica ETR(ゼンザブロニカETR)シリーズは、それまでのゼンザブロニカSシリーズとはうってかわって、AE対応などのシステム化、シャッターの電子化などの変革が行われた中判一眼レフ。
今でもゼンザブロニカの代表機種として有名なSシリーズは6×6判でしたが、ゼンザブロニカETRでは645判を採用。
マミヤ645やPENTAX645と同じように、横長画面での撮影を楽しめます。
中古で手に入る中判一眼レフカメラのなかではともすればマイナー機種と捉えられがちなゼンザブロニカETRシリーズ。
いったいどのようなカメラなのでしょうか?
中古フィルムカメラ専門店サンライズカメラのスタッフが紹介します。
目次
Zenza Bronica ETR(ゼンザブロニカETR)シリーズ
まず、Zenza Bronica ETR(ゼンザブロニカETR)シリーズに共通する特徴を紹介します。
中古で購入するときの参考になれば幸いです。
Zenza Bronica ETR(ゼンザブロニカETR)シリーズに共通するスペック
形式 | 中判フィルム一眼レフカメラ |
シャッター | B、8秒〜1/500秒 電子式 レンズシャッター |
レンズ | 交換式 |
露出計 | AEプリズムファインダーに内蔵 |
AE | AEプリズムファインダー取付時、絞り優先 |
ファインダー | 交換式 |
レンズマウント | ブロニカマウント(Sシリーズとは異なる) |
使用フィルム | 120フィルム・220フィルム(一部機種は120フィルムのみ) |
フィルム交換 | フィルムバック着脱式(一部機種を除く) |
使用電池 | 4SR44 |
Zenza Bronica ETR(ゼンザブロニカETR)シリーズの特徴
Zenza Bronica ETR(ゼンザブロニカETR)ETRシリーズは、1976年から2004年まで製造・販売された中判一眼レフカメラ。
ゼンザブロニカの中判一眼レフカメラは、ETR以前に製造されていたゼンザブロニカSシリーズにおいても、スタジオでの使用を強く意識していました。
ブロニカS2など、日本製中判一眼レフの代表として、ゼンザブロニカはプロにも愛用されてきたカメラです。
その特色はこのETRシリーズでも健在。
交換式フィルムバックをはじめ、スタジオでの使用も意識した、システムカメラとしての設計が色濃く感じられます。
フォーカルプレーンシャッターからレンズシャッターへ
Zenza Bronica ETR(ゼンザブロニカETR)が、それまでのゼンザブロニカと異なる最大の点。
それがレンズシャッターを採用したことです。
構造上、ストロボ同調速度に制限のあるフォーカルプレーンシャッターと異なり、レンズシャッターでは全速問題なく同調することが可能です。
ストロボの使用に制限がないことは、スタジオでの撮影にとって最大の利点。
それまでのゼンザブロニカの弱点を克服し、よりスタジオ向けカメラとして完成に近づきました。
6×6判や6×7判のレンズシャッター式カメラは珍しくないですが、645判のライバル機種は主にフォーカルプレーンシャッターを使用しているため、このシャッター方式こそが、ゼンザブロニカETRの最大の特徴だといえるでしょう。
ゼンザブロニカETRのレンズシャッターは独特の形式をとっており、シャッター自体はレンズ内に装備されていますが、シャッター速度の操作はボディ側のダイヤルで行います。
ファインダー交換で絞り優先AEカメラに
ゼンザブロニカETRは電子シャッターを搭載。
その最大の目的は、絞り優先AEを実現するためです。
ゼンザブロニカETRの標準のファインダーはウエストレベルファインダーですが、その状態では露出計は使用できず、同時代のマミヤ645と同様のオーソドックスな645判一眼レフに過ぎません。
ところが、AEプリズムファインダーを装着することでAEカメラに一瞬で早変わり。
露出計も機能するようになり、中判一眼レフカメラながら非常に便利な撮影が可能となります。
ライバル機種であるマミヤ645やPENTAX645に比べ、1976年の初代機種発売時にAEを搭載したのは、中判一眼レフカメラとして非常に先進的な設計であるといえるでしょう。
フィルムバック交換は当然可能・高度なシステム化
もちろんフィルムバックは交換可能。
120フィルム・220フィルムだけでなく、35mmフィルム対応バックまで用意されています。
中古でこれから探す場合は、基本的には120フィルム用バックがついているものを入手するとよいでしょう。
豊かな描写を引き出すゼンザノンレンズ
ゼンザブロニカETRでは、純正のゼンザノンレンズが使用可能です。
ゼンザノンレンズは、同じ645判のマミヤ645用セコールやPENTAX645用レンズにまったく引けを取らない高性能。
スタジオでのプロの使用を前提とした繊細かつ豊穣な描写を味わうことができますよ。
ETR用ゼンザノンレンズは、中判用の中古レンズとしては非常に安価な部類で、1万円以下の中古も見かけます。
※なおゼンザブロニカSシリーズとはレンズの互換性はありません。
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Zenza Bronica ETR(ゼンザブロニカETR)シリーズ 各機種紹介・中古のポイント
それでは、中古でゼンザブロニカETRシリーズを購入する場合にはどんな機種を選べばよいのでしょうか。
各機種を紹介するので、ぜひ中古購入時の参考にしてください。
中古で探す場合には、電子カメラのため後期の機種のほうが、一般的には電子部品の信頼性が高まっておりおすすめできるといえるかもしれません。
Zenza Bronica ETR(ゼンザブロニカETR)
1976年発売の初代機種です。
フィルムバックは交換式。
機能美あふれるデザインは、1977年のグッドデザイン賞も受賞しました。
Zenza Bronica ETR-C(ゼンザブロニカETR-C)
1977年発売。
ゼンザブロニカETRのフィルムバックを固定式とした機種です。
フィルムは120フィルムのみ対応しています。
ファインダーなど各種アクセサリには互換性があるため、AEプリズムファインダーの使用も可能です。
Zenza Bronica ETRS(ゼンザブロニカETRS)
1978年発売。
ゼンザブロニカETRへのユーザーフィードバックを参考に各部に改良を加えたモデルです。
中古市場では比較的玉数が多く、手軽な値段で中判カメラの高画質を楽しむことが可能です。
ゼンザブロニカETRS 20thモデル、ゼンザブロニカETRS クラブマン、ゼンザブロニカETRS SFなど各種の限定モデルも販売されました。
Zenza Bronica ETRC(ゼンザブロニカETRC)
1978年発売。
ゼンザブロニカETR-Sのフィルムバックを固定式としたモデルです。
Zenza Bronica ETRSi(ゼンザブロニカETRSi)
1988年発売。
ゼンザブロニカETRシリーズの完成形。
最大の特徴はTTLダイレクト自動調光に対応したこと。
スタジオカメラとしていっそうの完成度を実現しました。
また本機種ではモーターワインダーも用意され、システム性がさらに高まっています。
2004年の製造終了まで16年にわたって販売されており、完成度の高さと製造年時の新しさが中古購入時の魅力だといえるでしょう。
限定モデルとして、ゼンザブロニカETRSi 30万台記念モデルとゼンザブロニカETRSi 40thモデルが存在しています。
中古購入時のポイント
さて、ゼンザブロニカETRシリーズは電子カメラ。
それだけに、中古購入時には状態チェックがより重要となります。
持病らしい持病はないようですが、古い年代のものは、他の電子カメラの中古の例に漏れず、調子の悪いものもあるようです。
内部基盤が故障していると修理が難しいこともあるので、基本的に、保証のある、動作確認の取れた中古を買うように心がけましょう。
ただし、「壊れやすい」との評価が下されてしまったゼンザブロニカGSシリーズと異なり、ETRシリーズは中古でも比較的問題がないことが多いようです。
非常に廉価に中古でシステムが組めるので、もし状態のよい個体が見つかったら確保するのがおすすめです。
645判一眼レフのライバルたち
ゼンザブロニカETRと同じ645判としては、マミヤ645、ペンタックス645、コンタックス645が代表的。
645判のカメラを探しているときは、ぜひ比較してどれを買うか決めるのがおすすめです。
おすすめの中判フィルム
Zenza Bronica ETRシリーズは120フィルムを使用します。
中判カメラで使う120フィルムは、以下のものがおすすめです。また220フィルムについては、一度はすべて販売が終了してしまいましたが、2022年現在、モノクロなら中国の「上海」ブランドのものが入手可能です。
モノクロ自家現像を行う方は使ってみるのもよいですね。
他の645判一眼レフとは一味違ったカメラ
このようにゼンザブロニカETRシリーズは、他の645判一眼レフとは一味違うレンズシャッター採用中判カメラ。
645判一眼レフの中古としてはマミヤやPENTAXなどのライバルも存在していますが、その選択肢では普通すぎてつまらないと思う方に、ぜひおすすめしたい一台です。
セコールともSMC PENTAXレンズとも違う、スタジオを前提としたゼンザノンレンズの描写も大きな魅力。
ぜひ中古を手に入れて、スタジオから外へ、645判中判一眼レフの名機を持ち出してみませんか?
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