OLYMPUS(オリンパス)OM-4・OM-4 Ti/オリンパスOMシリーズ一眼レフの最終形態
OLYMPUS OM-4(オリンパスOM-4)と、そのチタンボディバージョンであるOM-4 Ti。
実質的にOLYMPUSのフィルム一眼レフの最終形態といえる、中古で人気の高いカメラです。
1972年のOM-1(初期はM-1)から始まったOMシステム。
小型軽量なシステムカメラとして進歩を重ねてきたOMシステムは、OM-1、OM-2、そしてOM-3とOM-4へと改良されてきました。
OM-1とOM-3は機械式の一眼レフカメラ。
いっぽうでOM-4やOM-4 TiはOM-2の流れを汲んだ、電子制御のカメラです。
TTLダイレクト測光を搭載したOM-2から更に進歩したOM-4では「マルチスポット測光」を搭載。
複数の箇所をスポット測光で計測すると、自動的にカメラが適切な露出を計算してくれるのです。
単体露出計に匹敵するカメラとして名高く、露出に関して同時代では右に出るカメラはありません。
もちろん、さまざまな中古で手に入るOMシリーズのなかでも上級機種として仕上げも抜群。
OM-4 Tiではチタンの高級感あふれるボディも楽しめます。
今回は実質最後のOM新型機、OM-4について中古カメラ専門店サンライズカメラのスタッフが紹介します。
目次
OLYMPUS OM-4とOM-4 Ti
それでは、OM-4とOM-4 Tiとはどんなカメラなのでしょうか。
中古購入の参考にもしてくださいね。
OLYMPUS OM-4(オリンパスOM-4)の特徴とスペック
※上記画像は貼り革に少々難があるものです。
形式 | 35mm一眼レフカメラ |
シャッター速度 | B、1秒〜1/2000秒(マニュアル時) 約4分〜1/2000秒(AE時) シンクロ速度1/60秒 電子式 横走布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | 中央重点ダイレクト測光 マルチスポット測光 (どちらもTTL開放測光) |
露出モード | 絞り優先AE マニュアル |
ファインダー | 視野率約97% 倍率約0.84倍 |
レンズマウント | オリンパスOMマウント |
対応レンズ | オリンパスOMレンズ |
電池 | SR44(Amazon)x2もしくはLR44(Amazon)x2 |
発売年 | 1984年(OM-4) 1986年(OM-4Ti) |
参考文献:サンダー平山&中古カメラ調査団 『中古カメラ実用機買い方ガイド』p.156-157 1996年、学習研究社
1984年、兄弟機のOM-3とともに発売されたOM-4。
電子式シャッターとマルチスポット測光、絞り優先AEを搭載した、OMシリーズの上級機。
どちらも中古で非常に人気が高いカメラです。
最大の特徴は、非常に正確な露出を実現できるマルチスポット測光。
本機搭載のスポット測光では露出の値を記録することが可能で、複数回スポット測光を行うと、その結果を演算して適正な露出を導き出してくれるのです。
またシャッター速度など数値上のスペックも、それまでのOMシリーズ一眼レフより一段と進歩したもの。
最高シャッター速度は1/2000。
OM特有の横走り布幕シャッターの感触はそのままに、より幅広い撮影シーンへの対応を実現しました。
ファインダー内の表示は液晶(LCD)表示に。
OM-3とともにペンタプリズム上部に入っている白い横線は、LCD採光のためのプラスチック窓です。
また、1984年の無印OM-4は真鍮外装となっています。
仕上げの面でもそれまでのOMよりさらによくなっており、中古で手にしたら、OM-1やOM-2よりもしっかりとした感触に息を呑むことでしょう。
適正露出を簡単に求められるマルチスポット測光
1980年代。
カメラメーカー各社はより適正な露出を求めるため、測光方法の開発競争を繰り広げました。
同時期、日本光学はNikon FAにマルチパターン測光を搭載。
いっぽうでOLYMPUSは、このOM-4でマルチスポット測光という新機軸を提案したのです。
OM-4のマルチスポット測光とは、複数回スポット測光を行い、その結果を演算することで適正な露出を求めるというもの。
具体的には、ボディ上部にあるスポット測光ボタンを押すと、中央重点測光からスポット測光に切り替わります。
そして、スポット測光ボタンを押すたびに、その都度測光結果が記録され、結果に応じ適正露出の計算が行われるのです。
なお、このマルチスポット測光は8回まで可能です。
マルチスポット測光が威力を発揮するのが、夏の日差しや冬の夕日といった、照度差・コントラストが激しい被写体。
シャドー部を重視するかハイライト部を重視するか、撮影者の意図に応じて完璧な露出を実現してくれますよ。
MFの小型軽量ボディのカメラでは頭一つ抜けた露出計。
その後のカメラは評価測光等を搭載している代わりに大型になってしまったため、OM-4の中古は小型のカメラでフィルムを楽しみたい方にもおすすめです。
OMシリーズ共通の操作性
このように、それまでのOMシリーズとは一線を画した性能・機能を備えたOM-4。
それでいて、OLYMPUS OMシリーズを長く使っていたユーザーなら、まったく戸惑うことなく使用することが可能です。
シャッターダイヤルはOM共通のレンズマウント基部。
シャッターボタンや巻き上げレバーの位置も他のOMシリーズと同様です。
またワインダーを始めとするアクセサリーもOMシリーズ共通で使用可能となっています。
↑ボディ下部の各パーツ配置はそれまでのOMシリーズ同様
OMのアクセサリーは比較的中古の入手性も良好。
またレンズも安価なOM用レンズをどれでも使い放題。
すでにOM-1を持っている方が、他のOMを使ってみたいというときには、中古のOM-4を選ぶのもよいでしょう。
オリンパスOMについてはこちらの記事もご覧ください
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OLYMPUS OM-4 Ti
そしてOM-4は、チタン外装のOM-4 Tiへとさらに飛躍を遂げました。
OM-4 Tiが最初に発売されたのは1986年のこと。
のちにチタン外装のカメラはブームとなりますが、それに先駆けた登場です。
チタンボディであることから非常に中古人気の高いカメラとなっています。
OM-4 Ti(シャンパンゴールド・1986年)
1986年、チタン外装のOM-4 Tiが発売されました。
ボディカラーはチタンの色をそのまま活かしたシャンパンゴールド。
チタン外装特有のタフさと高級な質感を存分に味わうことが可能です。
さらに、OM-4 Tiではストロボ撮影時の新機能が搭載されました。
それがストロボに全速同調する「スーパーFP発光」への対応。
通常のストロボでは発光が一瞬のため、フォーカルプレーンシャッターではシャッターが全開する同調速度以下でしかストロボ撮影はできません。
スーパーFP発光では、ストロボの発光を長時間持続させることで、高速シャッター時にも問題なくストロボ撮影を行うことができるようになりました。
専用ストロボ「フルシンクロフラッシュF280」を使用することで、フォーカルプレーンシャッターのカメラながらストロボ全速同調を可能としています。
OM-4 Ti(ブラック・1989年)
そして1989年には、そのOM-4 Tiのブラック塗装バージョンも発売されました。
機能的にはシャンパンゴールドのOM-4 Tiと同じ。
ですが、真鍮外装の黒塗りとまったく異なる、マットな質感を備えたブラック外装は、OM-4 TiやOM-3 Tiでしか味わえないとても美しいものです。
チタンカラーもブラックも、どちらもとても中古で人気があるモデル。
ただし、中古価格は、OM-4は電子式であることから、機械式のOM-3よりは安いこともあるようです。
OMシリーズの実質的最終進化系
OLYMPUS OMシリーズはその後も2002年まで販売が続きました。
カメラボディとしては、その後が続かなかったAF対応のOMシリーズや、コシナのOEMによるOM2000などその他の機種も発売されています。
しかしながら独自の新機軸を備えていること、AFのOMやOM2000が米谷美久による本来のOMシリーズの設計思想とは異なることからして、このOM-4とOM-4 Tiこそ、OLYMPUS OMシリーズの最終進化系と呼んで差し支えないのではないかと思います。
もちろん、OMシリーズの上級機としては最後にして最高の存在であることに間違いありません。
80年代、MFフィルムカメラが高度に発達した時期の、完成度の高い機種。
OLYMPUSファンの方にも、これからフィルムカメラを初めて手にする方にもおすすめの中古フィルムカメラです。
OM-4を中古で手に入れるなら
それではOM-4を中古で手に入れるときにはどんなことに気をつけたらよいのでしょうか。
OM-4には、中古カメラにありがちな、不可避な「持病」というものはないようです。
しかしながら、80年代の中古カメラのため、内部の電子部品の劣化にだけは注意が必要です。
電子カメラは修理が難しいため、整備済み、チェック済みの良品を選びたいのは他の中古カメラと同じです。
OMシリーズの最上級機を使ってみませんか?
このように、OM-4はOLYMPUS OMシリーズの到達点と呼ぶべきカメラ。
独自の測光機構と、1980年代に入り爛熟したカメラ製造技術により、非常に快適な使い心地を楽しむことができますよ。
中古で人気の高いOM-4Tiでは、さらにチタンボディという魅力も加わりました。
当然のことながらOMシリーズ共通の小型軽量さも兼ね備えているOM-4。
ぜひ中古で手に入れて、OLYMPUSの真髄を味わってみませんか?
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修正履歴
2021年4月12日
参考文献を元にスペック表加筆修正
AE時の長時間露光を60秒~としていたが約4分に修正
参考文献:サンダー平山&中古カメラ調査団 『中古カメラ実用機買い方ガイド』p.156-157 1996年、学習研究社
2022年8月2日
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