[旅×フィルムカメラ第7弾] CONTAX(コンタックス)TVSは上質な撮影体験が叶えられるエモいカメラだった
旅好きな私いくた りかが、フィルムカメラやオールドレンズを相棒として携え、出会った素敵な景色をお見せしていく連載。
第7回目は、高級コンパクトカメラの中でも、いまなお中古市場で人気の高い、CONTAX(コンタックス)TVSにチャレンジしてまいりました!
チャレンジと言っても、フィルムカメラ初心者にとっても非常に扱い容易く、高い描写力に加えて、ズームレンズが使えるという良いとこ取りし尽くした一品です。
高級コンパクトカメラのなかでも、中古価格は安めなのも魅力、ということですね。
今回はこの贅沢なコンパクトフィルムカメラを携え、相変わらずの静岡の旅へ行ってきました。
旅の舞台は、東海道五十三次の16番目、由比の宿場町やそこからほど近い、薩埵峠!
ぜひ、CONTAX(コンタックス)TVSの作例とともに気楽に見ていってください^^
【前回の記事はこちら】
[旅×フィルムカメラ第6弾] ハーフサイズカメラ OLYMPUS(オリンパス) PEN EE-3を持って下田の港町をぶらり。
目次
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
CONTAX(コンタックス)TVSについて
ではまず、CONTAX(コンタックス)TVSとはどんなフィルムカメラなのか簡単に紹介します。
CONTAX(コンタックス)TVS
じゃじゃんっ。
ぱっと見ただけで、高級感漂っています。
CONTAX(コンタックス)TVSは、1993年に発売された高級コンパクトカメラですが、いまなお中古で非常に高い人気を誇っています。
CONTAX(コンタックス)TVSの最大の特徴は、ズームレンズを搭載していること。
世の中には高級コンパクトカメラと呼ばれるカメラは多くありますが、ズームレンズを備えた高級コンパクトカメラはあまりありません。
しかも、レンズはツァイスレンズ、描写は一級品。ズームレンズといえば、単焦点レンズに比べて暗かったり、描写力に劣ったりですが、ズームレンズらしからぬ上質な写真を作り出すことができるカメラなのです。
チタン製の外装、無駄のないデザインセンスがほんとにすてき・・・。
露出は、プログラムAEと絞り優先AEが使えますので、初心者でもフルオートで楽しめます。
CONTAX TVSの操作 簡単な紹介
CONTAX TVSの操作について、簡単に紹介します。
露出補正とフラッシュ
露出補正とフラッシュはこの、左手の側で操作します↓
フィルム装填
フィルム装填はこちらから。つまみを下へ下げるとフィルム室の蓋があきます。
フィルムは自動巻き上げなので、赤い線のところまでフィルムを持ってきて蓋を閉じれば、装填完了。
CONTAX(コンタックス)TVSの作例紹介!
それでは、CONTAX TVSで撮影した作例をご紹介します!
ここからの薩埵峠(さった峠)・由比での作例は、FUJIFILM 業務用100を使用しています。
(フジカラー100というフィルムをほぼ同じもののようです)
早朝の空模様
えもい。実にえもいです。
もやっと霞んでいるような、じんわり染みるような、言語化が難しいですが非常に独特な風合い。
私はつい最近フィルムカメラを始めたような素人なので、もちろんCONTAX(コンタックス)TVSがどのような特徴のあるカメラかどうか、まるで知らずに撮ったのですが、この独特な雰囲気・味わいに感激です。
↑これは朝一の満月(確か)、家を出発する際に撮影した一枚です。
さすがに暗く、ぶれてしまったけどそれがまた良き。フィルムカメラで撮るようになって、ブレることが全然怖くなったといいますか、偶然の産物の味わい深さをひしひし感じています。
猫じゃらし畑。この先の向こうには海。夜明けを待つ時間帯、さむっと多少震えながら、サービスエリアにて。
薩埵峠×みかん
パノラマモードで撮影してみたのですが、背景が黒になってしまった!
さてはて、今回のお目当ては、東海道五十三次「由井」にも描かれている薩埵峠(さった峠)。
東海道本線・国道1号線・東名高速道路の3本ラインがちょうど峠の麓に並んでいて、その奥に富士山が拝めます。
富士山眺望の写真スポットとしてもわりと有名な場所ですね。
峠までも車で上がれて、そこから徒歩数分で展望スペースへ行けます。麓からトレッキングするのも楽しそう!
だがしかし・・・!
現像後の写真を見てみると、奥の富士山がどうしても霞んでしまってくっきりとは見えません泣
直前まで雲で隠れていたおふじ(個人的な愛称)も、展望台に着く頃には頭をひょっこり出してくれたので、よっしゃー!と思ってシャッターを切ったのですが、遠方の被写体の鮮明度には限度がありそうですね。
でも、うっすら奥で佇むおふじの貫禄はやっぱりお見事。写真を残すかどうかにかかわらず、ぜひ一度はこの景色を堪能してもらいたいです。
またまたパノラマで。左奥にうっすら見える山々が愛鷹山周辺、右奥に見えるのは伊豆半島の方です。
晴れていると伊豆半島がくっきり見えて、本当に綺麗なんですよねっ!
広角側はとくに周辺露光落ちますが、それが味わいにつながっています。
お次は、このカメラとの相性抜群な被写体を発見しました。
↑これは、みかんを運ぶためのレールですね。急斜面での収穫作業時に使用するものなのでしょう。見つけるとワクワクします。
「由比」の街は、海沿いの平地部分がとても狭く、後ろにはすぐに薩埵峠を含む急斜面な山をかかえているような地形となってます。
寒暖差があって、風当たりや水はけが良い、そして太陽光をめいいっぱい浴びる地形で美味しいみかんが育つんだとか。
↑左上に逆光を差し込ませ、まるまる太ったおみかんをモデルに。このカメラ、逆光との相性がかなり良いのではないでしょうか?
みかんのある景色って、冬でもふんわり温かみがあって、ちょっぴりポップでかわいい。
これもだいすきな一枚。ここからの駿河湾の眺めは格別です。
駐車場で販売していたおみかん。
高橋さん、あまくておいしかったよ。ありがとう。by いくた
JR東海道本線、由比駅へも、興津駅へも、徒歩1時間ほどだとか。車でもどちらからでも登れます。
峠を降りていくと、おそらくみかん貯蔵用のカゴがずらり。CONTAX(コンタックス)TVSの独特な色味、くすみ具合が活きる被写体ゲットです。
東海道五十三次「由比宿」
峠を降りて、由比の宿場町を散策。
由比は桜えびで有名な街ですので、桜えびサブレーの看板も。
ちなみに国内産さくらえびはほぼ100%駿河湾で獲れたものだそうですよ!
由比ではいくつかご飯処もあって、漁期などの状況にもよりますが、新鮮な桜えびが食べられるんですっ。
お店が前来た時よりも少し減ってしまった気もしましたが、、街並みも古き良き景色が随所に残っていて、勝手ながら大切に愛していきたいなぁ〜と思えるすてきな街です。
と、言うことで毎度おなじみ酒蔵訪問ですっ。
「正雪」という銘柄で有名な、神沢川酒造所さん。
あ〜この雰囲気、通りの先には山が見えて、全体的に茶色っぽい感じ、演出力と非常にマッチしてくれた。
店内の暗さだとシャッターが降りず、フラッシュ機能を使って撮りました。
お店の方がとても丁寧に説明してくださり、ここでしか買えない銘柄はありますか?と店先で聞いてみたところ、まだ卸す前の今秋のしぼりたて生酒が1本余っているとのことで、わざわざ蔵まで取りにってくれました・・・!めちゃくちゃ美味しかったので、こちらもおすすめ。
フラッシュがテカリすぎてしまいました!この金紋カップ、重わずジャケ買いです。
(↑フィルム切れにつき、SONY α7R×Nikon AF NIKKOR 35-70mm F2.8 Dにて撮影)
帰りがけ、行きにも気になっていた酒屋さんの店先「酒粕あります!」の文字につられて、すでにお酒は蔵で買ったばかりだけど、せっかくだから・・・と好奇心赴くままに寄ってみることに。
酒屋さんの豊富な品揃え、CONTAX(コンタックス)TVSの映りはここでも実力を大いに発揮してくれました。
やっぱりこの霞む感じが、映るものの深みを醸し出します。
そして、ここでも素敵な出会いがありました。CONTAX(コンタックス)TVSで撮影した今回の旅、一番気に入っている一枚です。↓
酒粕を買ったら、「おいしい甘酒の作り方教えるよ!」とお店のおばちゃんがとっても丁寧にコツを教えてくれました。
それだけでなく、漬け物や煮物をおいしく仕上げるコツなどなど・・・紙に書き込んでくれて、酒粕一つ買うだけでここまでしてもらうのにも恐縮し、「なんか1本かっていこうかな〜」とつぶやいてみたのですが「いいからいいから!それよりまたきてね^^」と。
日焼けした優しい手。
こうして大切な一枚として写真に残せて、また一つ旅の思い出ができました。
関連記事
こちらの記事でも由比宿をミラーレス一眼カメラで撮影した作例を紹介しています。
[オールドレンズ探訪記] 使い勝手のいい標準レンズ!Nikon Ai AF NIKKOR 35-70mm F2.8D(作例あり)
「P」=パノラマモードで撮った作例集
最初の1本目を撮るときに、操作方法がわからず、「P」って書いてあったので、プログラムオートかと思いスライドさせたら、全てパノラマモードで撮影していました!
こちらはFUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400を使用しています。
パノラマモードで撮影するとこんな感じ
初めましてのフィルムカメラを使う際、毎度操作方法に戸惑うのですが・・・
結構昔のフィルムカメラだと取り扱い説明書も残ってなかったり、ネットで解説してくれているのを見つけられればラッキーですが、結局それもめんどくさくなり笑、ぶっつけ本番で撮り始めてみたというのが此度の要因です。
すると、でき上がりを見てびっくり。(こちらから使用フィルムは「FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400」)
ぜーんぶ切れてるじゃん!と思ったら、パノラマモードだったようで。
でもでも、これがまた偶然の産物を数多く生み出すきっかけに・・・!
思っていた構図ではないけれど、真ん中あたりに位置した場所が横長でリサイズされたみたいな絵になりましたが、これはこれでなかなか良いじゃないか!と。
CONTAX(コンタックス)TVSを使用した感想
CONTAX(コンタックス)TVSのレビューでした。
私にとって初めての高級コンパクトカメラのジャンルのフィルムカメラだったのですが、「高級」と言いように描写力に優れていることはもちろんですが、描写力のレベルの高低で評価するというより、独特な「味わい」に魅力があると感じました。
また、チタン製の上質な装いから、シャッターを切る瞬間も、上質なひとときであってほしいという気分にも・・・。
CONTAX(コンタックス)TVSを持っている自分自身に磨きをかけてくれるような、要は持ってて気分のアガるカメラです。
軽くて持ち運びも便利なので、見知らぬ土地を歩くときや、普段は通り過ぎてしまいそうな場所も、せっかくだから足を運んでみようかなと、気軽な気持ちで撮れる上に、その先に上質な撮影体験が叶ってしまう。
今回訪れた由比の宿場町のように、ただ物珍しい景色を撮るんじゃなく、消えて欲しくないもの、大切にしたいものを、これからも写真に残していきたいと改めて思いました。
2024年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
CONTAX(コンタックス)TVS 簡単な解説
ここからは、今回作例を撮影した高級コンパクトカメラ、CONTAX(コンタックス)TVSについて、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフが簡単に解説します。
CONTAX TVS(コンタックスTVS)
形式 | 35mm高級コンパクトカメラ |
シャッター | 電子式のレンズシャッター プログラムAE時:16秒〜1/700秒 絞り優先AE時:16秒~1/500秒 |
レンズ | バリオゾナー28-56mm F3.5-6.5(6群6枚) |
露出計 | 外部測光 SPD受光素子使用 |
AE | プログラムAE 絞り優先AE |
ファインダー | 実像式ズームファインダー |
AF | 外光式パッシブ式オートフォーカス マニュアルフォーカス可能 |
電池 | CR123A リチウム電池x1 |
発売年 | 1993年(初代TVS) |
※参考文献:CONTAX TVS 取扱説明書 p.49-50
CONTAX TVS(コンタックスTVS)は、京セラがCONTAXブランドで発売した高級コンパクトカメラです。
CONTAXブランドの高級コンパクトカメラといえば、CONTAX T2やCONTAX T3が高い人気を集めていますが、今回作例をご紹介したCONTAX TVSは、それらに並ぶ高級な仕上げを持った機種。
外装はCONTAXお得意のチタン。
それ以外の点も、CONTAX T2譲りの高いレベルの質感を備えています。
2010年代後半からの中古フィルムカメラブームにおいて、このCONTAX TVSはじつは注目機種といえるかもしれません。
それより前の中古フィルムカメラブームでは単焦点レンズのフィルムカメラが注目され、ズームレンズのついた機種は見過ごされがちでした。
ですが、1990年代の「リアル」な雰囲気を味わえることから、ズームレンズならではの描写がにわかに人気を集めるようになっているのです。
今回の作例を見ればわかるように、CONTAX TVSの描写は、ズームレンズならではのレトロさと、ツァイスレンズならではのポテンシャルの高さ、どちらも感じられるもの。
ズームレンズだからといって描写が甘いようなこともなく、28-56mmの2倍ズームとズーム比が控えめなこともあって、十分なレベルの安定性があるといえるでしょう。
また、以前の中古フィルムカメラブームではどちらかというと、ストロボを光らせない描写が好まれましたが、2022年現在、新しく中古フィルムカメラに触れる方の間ではストロボを使った写真が見直されていることもプラスに働いています。
ズームレンズの開放F値の暗さは、必ずしもマイナス点にならないのです。
中古で売れに売れた機種だけあって、中古の市場在庫はとても豊富。
しかも、CONTAX T2やCONTAX T3に比べて中古価格は比較的手頃。
いわゆる高級コンパクトカメラのなかでも、価格帯は低いほうだといえます。
1990年代のラグジュアリーなフィルムカメラを、高級コンパクトカメラのなかでは手に入れやすい価格で味わえるという点から、中古フィルムカメラの魅力を味わう上で、十分におすすめできる機種だといえるかもしれないですね。
CONTAX TVSシリーズの関連機種
CONTAX TVSにはシリーズ機種として、CONTAX TVS IIとCONTAX TVS IIIがあります。
CONTAX TVS IIは、CONTAX TVSの不便だった点を改良した機種。
1997年発売。
中古価格は初代のCONTAX TVSとあまり変わらないくらい~少し高い価格くらいの印象です。
CONTAX TVS IIIは、外観のデザインをがらっと変えてきた高級コンパクトカメラ。
1999年発売。
こちらは発売時期が新しいこともあり、中古価格は少し高めのことも(初代TVSと同じくらいの価格の場合もあります)。
CONTAX TVSシリーズはどの機種も、動作がすべて電子化されたフィルムカメラ。
そのため、中古価格が安すぎるもののよりも、多少価格は高めでも、しっかりと状態が確認されて、保証がついた中古を選ぶのがおすすめだといえるでしょう。
CONTAX TVS 関連記事
CONTAX(コンタックス)TVS まとめ
今回は、魅力いっぱいの高級コンパクトカメラ、CONTAX(コンタックス)TVSの作例をお届けしました。
旅×フィルムカメラの連載では、様々なフィルムカメラの作例を挙げていますので、旅をしている感覚で気楽にみていってもらえたら嬉しいです^^
旅×フィルムカメラ 次の記事はこちら
旅×フィルムカメラ、次回は富士フイルムのコンパクトカメラ、KLASSE(クラッセ)で撮影した作例をご紹介します!
2001年発売のフィルムカメラ、近年では中古での人気も高くなっている機種です。
いったいどんな写真が撮れるのかご期待ください!
カメラ女子にオススメ!FUJIFILM KLASSE(富士フイルム クラッセ)で日常に彩を。【旅×フィルムカメラ第8弾】
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写真・動画どちらもハイクオリティ。一度は手にしたい逸品!
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