【撮影基礎講座10】写真のホワイトバランス・色温度まとめ。色彩をコントロールして美しい写真を生み出そう!
今回は、写真を撮影するときの、ホワイトバランスと色温度について解説します。
SNSで見た写真や、本や雑誌で見た写真。
「色彩が素敵」だと思ったことはありませんか?
じつはそんな写真が美しいのは、「色温度」「ホワイトバランス」に気を配っているからかもしれません。
「色温度」や「ホワイトバランス」とは、写真の色を調整するパラメーターのこと。
この値を変えることで、写真を「青っぽく」したり、「赤っぽく」したりすることができるのです。
もちろん、ホワイトバランスと色温度を適切に設定することで、「自然な色合い」の写真も撮ることができますよ。
目次
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ホワイトバランスと色温度とは
ホワイトバランスと色温度は、撮影した写真がどのような「色」なのかを設定するためのものです。
デジタルカメラでは、カメラ本体に設定された撮影シーンごとの「ホワイトバランス」を設定したり、手動で「色温度」を設定することができる機能があります。
この機能を使うことで、より実際の被写体に近い色で撮影することができるのです。
もちろん、自分が表現したい色を作り出すことも可能です。
いっぽうフィルムカメラの場合、写真の色はフィルムの種類に左右されます。
ただし、カラーネガフィルムの場合には、写真を紙にプリントするときに、お店で依頼することで色合いを変えることが可能。
もちろん、デジタルデータとして取り込めば、パソコンで色合いを編集することもできます。
では、それぞれどんな特徴があるのか見ていきましょう。
ホワイトバランスとは
ホワイトバランスとは、デジタルカメラの本体に設定された、撮影シーンごとの「色合い」のこと。
光には「色」があります。
昼間の日光と、夕方のオレンジ色の光は、色が違います。
それは、日なたと日かげでも同様。
また、白い照明とオレンジ色の照明も、色が全く異なりますよね。
このように、環境によって異なる光の色を調整して、自然な色になるように調整する機能が、ホワイトバランスなのです。
多くのデジタルカメラには、「オートホワイトバランス」のほか、「太陽光」「日陰」「白熱電球」「ストロボ光」など、よく使われる撮影シーンに合わせたホワイトバランスが数種類インプットされています。
この写真のように、カメラ本体の設定画面から変更可能です。
(操作方法は機種により異なります。画像はSONY α7)
「ホワイト」バランスという名前が表しているように、この機能は白いものが白く写るように調整しています。
「白」「グレー」「黒」といった、色がない(無彩色の)被写体を撮ったときに、「白が白く」「黒が黒く」写る。
そうすることで、被写体が本来もつ色合いで撮影することができるのです。
では、代表的なホワイトバランスの設定について見ていきましょう。
オートホワイトバランス(AWB)
オートホワイトバランスとは、カメラが判断して自動でホワイトバランスを決めてくれる機能。
だいたいの場合、このオートホワイトバランスに設定しておけば、自然な色で撮影することが可能です。
ただし、あくまでも失敗がないように、無難なホワイトバランスに設定することが多いので、ヴィヴィッドな発色や、厳密に被写体と同じ色で撮影することには不向き。
もし撮影した写真の色に不満がある場合には、以下に紹介する、撮影シーンごとにプリセットされたモードを使ってみましょう。
太陽光
屋外の太陽光を撮影するためのモード。
太陽の光は、じつは真っ白な光です。
そのため、真っ白い光に合ったホワイトバランスに設定してくれます。
オートホワイトバランスに比べて、より空が青く写ります。
日陰
晴れている日でも、日なたと日陰では色温度は大きく変わります。
日陰は「青っぽい」光になるので、光を赤っぽく補正して、白が白く写るようにします。
曇天
曇りの日も、快晴の日に比べて光の色が青っぽくなります。
こちらも、青っぽい光を赤っぽい光に補正しています。
白熱電球
白熱電球はオレンジ色の暖色の光。
そのため、光を青く補正して、自然な色で写るようにします。
ただし、オレンジ色の光で撮影しているのに「普通の色」になってしまうので、
もし見た目どおりのオレンジ色で撮影したいときには「太陽光」に設定して撮るといいですよ。
ホワイトバランスを「太陽光」にした場合
いっぽう、このホワイトバランスに設定して屋外で撮影すると、ドラマチックなくらい真っ青な写真が撮れます。
慣れてきたら試してみると面白いでしょう。
蛍光灯
蛍光灯の色に合ったホワイトバランスのモードです。
蛍光灯が放つ光には特徴があります。
人間の目ではわからないのですが、じつは「緑色」なのです。
蛍光灯の下で撮影した写真が緑色になってしまうことを「蛍光灯かぶり」といいます。
蛍光灯かぶり(再現)
デジタルカメラの蛍光灯用のホワイトバランスでは、自動的に蛍光灯かぶりを補正してくれます。
フラッシュ・ストロボ
フラッシュやストロボは、太陽光と同じく白い光です。
そのため、太陽光と同様に、白い光で自然に撮れるように調整してくれます。
とくに、室内でストロボで撮るときにはこのモードにすると良い結果が得られるでしょう。
水中
カメラによっては水中用のホワイトバランスを設定できるものもあります。
水には、青い光を通しやすく、赤い光を通しにくい性質があります。
海が青いのはそのため。
そこで、水中で自然な色で写せるように補正して、自然な色に補正する設定になっています。
ダイビングで活用できるモードです。
カスタム・手動
デジタルカメラのホワイトバランスには、「カスタム」や「手動設定」のモードがあります。
これは、上記のようなプリセットされたホワイトバランスに設定するのではなく、次に解説する「色温度」を自分で入力するモードのこと。
画像のように、色温度を「K」(ケルビン)という数字で入力します。
具体的には次の色温度の項目で解説していきます。
色温度とは
ホワイトバランスを手動設定するときに登場する「色温度」という言葉。
いったいどんなものなのでしょうか?
色温度は光の色を表している
夕焼けの赤い光。
冬の朝や雨の日の青い光。
昼間の太陽光は、真っ白い光をしています。
光には、「赤っぽい光」「青っぽい光」があることを、経験的に知っているのではないでしょうか。
このような、「赤い光」から「青い光」への変化を表したものが「色温度」です。
色温度とケルビン
色温度は、この光の色の並びを、「K」(ケルビン)という単位で数値で表したものです。
具体的には、
赤い光(暖色):数字が小さい
青い光(寒色):数字が大きい
ということになります。
図に表すと以下のようになります。
色温度をカメラで設定する
デジタルカメラでは、この色温度を手動で設定することができます。
同じ場所を撮ったときでも、このように写真の色が変化します。
3200Kで撮ったとき
5600Kで撮ったとき
7500Kで撮ったとき
「色温度」とカメラの色温度設定
この写真を見て、少し変に感じたかもしれません。
赤い色(暖色):数字が小さい
青い色(寒色):数字が大きい
と解説したのに、それとは逆に、以下のようになっているのです。
2800K:青い
5600K:普通の色
7500K:赤い
これはけっして間違いではありません。
このようになるのは、カメラの色温度は、
「その色温度の光のときに、自然な色になる」数値のため。
すなわち、カメラの色温度設定では、以下のようなことを行っているのです。
2800Kに設定:赤い光が自然になるように青く補正
5600Kに設定:普通の色なのでそのまま
7500Kに設定:青い光が自然になるように赤く補正
これはどのカメラでも同様。
カメラの色温度を調整するときには、
写真を青くしたい→数字を小さくする
写真を赤くしたい→数字を大きくする
と覚えておくとよいでしょう。
色温度を自然な色に設定する方法
光の色は、環境によってさまざまに変化しますが、じつは、実物と同じ色に写るように色温度を設定する方法があります。
それが、ホワイトバランスを「カスタムセット」する機能を使うこと。
(メーカーにより機能の名前は異なります)
これは、「無彩色」の被写体にカメラを向けてシャッターボタンを押すと、自動で「白が白く」写る色温度を設定してくれるというものです。
被写体のホワイトバランスをカメラが計算してくれる
求められた色温度をカメラに登録できる
とはいえ、グレーのものならなんでもいいわけではありません。
人間の目には色彩がないように見えても、実際には微妙に色がついていることがあるためです。
この、ホワイトバランスの自動セット用に「グレーカード」という専用の道具が市販されています。
厳密な色で写真を撮りたい場合には、ぜひ手に入れるとよいでしょう。
自分で色を決める
本来ホワイトバランスや色温度は、白いものを白く、自然な色彩で写すための機能。
ですが、もちろん自分で色を調整してもOKです。
たとえば寒色では透き通った印象、シャープな印象。
暖色では、食べ物がより美味しく見える写真。
ホワイトバランスと色温度を操ることで、より写真の表現が広がりますよ。
ホワイトバランス・色温度は撮影後にも編集可能
デジタルカメラでは、「Raw」というデータ形式で撮影することで、撮影後にも自由にホワイトバランス・色温度を変えることができます。
デジタルカメラを使っていると、Raw現像という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
このRaw現像を行う際にホワイトバランス・色温度の数値を編集することで、思い通りの色の写真を生み出すことができるのです。
Raw現像は、デジタルカメラに付属のメーカー純正ソフトや、Photoshop、Lightroom、SILKYPIXといった専用のソフトで可能。
ぜひデジタルで撮影するときは、Raw現像に挑戦してみましょう。
また、もしjpg形式で撮影していても、Photoshopのようなレタッチソフトで、色彩を変更することができますよ。
フィルムカメラのホワイトバランス・色温度
この記事では、ここまでデジタルカメラのホワイトバランス・色温度について解説してきました。
では、フィルムカメラではどうなのでしょうか?
フィルムカメラは、じつはデジタルカメラに比べると色温度の調整は難しいです。
ですが、フィルムをお店でプリントするときに色の調整をお願いすることで、思った色を出してもらうことが可能です。
デイライトフィルムとタングステンフィルム
フィルムカメラで使うフィルムにも、光の色に応じた種類があります。
種類は2つ。
デイライトフィルム(色温度5500K)
タングステンフィルム(色温度3200K)
です。
デイライトフィルム
※2番目のフィルムのみ、モノクロフィルム
デイライトフィルムとは、太陽光の色に合わせて作られた、色温度5500Kのフィルム。
一般に販売されているフィルムのほとんどが、このデイライトフィルムです。
タングステンフィルム
タングステンフィルムとは、オレンジ色の電球での撮影を前提に作られた、色温度3200Kのフィルムのこと。
かつてプロが仕事のために使っていたフィルムです。
昔はいまのようにLED光源がなかったため、電球の色温度に合わせたフィルムが作られました。
現在は種類はとても少なくなっています。
フィルムでホワイトバランスを補正するには
このように、フィルムカメラのホワイトバランスは2種類しかありません。
実際に購入できるのはほとんどがデイライトフィルムなので、実際には選べないも同然。
でも大丈夫。
ホワイトバランスを補正する方法があるのです。
カラーネガフィルムはお店でのプリント時に色を調整可能
もっとも広く使われているフィルム「カラーネガフィルム」。
(現像した後にフィルムの色が茶色になるフィルムです)
カラーネガフィルムは、紙にプリントするとき、色を調整することが可能です。
これは、プリントするときに色を調整するフィルターを通しているため。
カラーネガフィルムでの撮影にこだわるときは、写真の「手焼き」をしてくれるお店に依頼すると、プリントしたいイメージ通りの写真を生み出すことができるでしょう。
デジタルデータに取り込んで補正
また、フィルムで撮影した写真をデジタルデータとして取り込めば、Photoshopなどのレタッチソフトで、自由自在に色を補正することが可能。
デジタルカメラで撮影したものと同様、思い通りに編集できますよ。
昔は「色補正フィルター」で色を調整していた
色補正フィルターの例
では、昔パソコンがなかったときにはどうしていたのでしょうか。
昔は、「色補正フィルター」というもので、微妙な色温度を補正していました。
色補正フィルターは、レンズの前に取り付ける、色を調整するフィルター。
光が青すぎるときは暖色のフィルターを。
光が赤すぎるときは寒色のフィルターを取り付けて、自然な色に補正していたのです。
なお、「タングステンフィルムをデイライトフィルムのように」「デイライトフィルムをタングステンフィルムのように」使うフィルターも存在していました。
いまではほぼ使命を終えたフィルターですが、この記事で解説した色温度の調整は、フィルム時代のこのような知識がベースとなって開発された技術なのです。
色を自由自在に操ろう
このようにホワイトバランスと色温度を調整することで、より思い通りの、よりドラマチックな写真を生み出すことが可能。
カメラの使い方を覚えるときは露出ばかりが注目されがちですが、色もとても重要な要素。
ぜひ露出とともにホワイトバランス・色温度を操って、あなたが思い描く写真を生み出してみてくださいね。
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