RICOH(リコー)GRシリーズ大全集!至高のフィルム名機を中古でお手軽に!
1996年。
リコーから伝説のコンパクトカメラが発売されました。
その名は「GR1」。
街中でのストリートスナップ・キャンディッドフォトに特化した、フィルムコンパクトカメラとして最高レベルの描写力を誇る機種です。
搭載された28mmのGRレンズは、並の一眼レフ用レンズをはるかに凌ぐ高性能。
それもそのはず、GR1はポジフィルムでの使用を前提に、プロやハイアマチュアの求める性能を満たすカメラとして開発されたものなのです。
今もなお中古で高値で取引されているフィルムコンパクトカメラはいくつもありますが、それらの多くは、「高級感」を前面に押し出した高級コンパクトカメラが主。
それに対し、リコーGR1をはじめとするGRシリーズは、目指す方向性がまったく異なります。
GR1は仕事のための道具・プロの道具・戦うための道具。
夜の新宿が似合うマッシヴなフィルムコンパクトカメラ、それがGR1。
今回はGR1にはじまるリコーGRシリーズの魅力について、中古フィルムカメラ専門店サンライズカメラのスタッフがお送りします。
目次
リコーGR1とGRシリーズ
リコーが送り出した伝説の超高性能コンパクトカメラ、それがリコーGR1。
まずはGR1とGRシリーズとはいったいどのようなカメラなのか、その概要について紹介します。
リコーが生み出したコンパクトカメラの傑作
リコーGRシリーズは、1996年に発売した初代GR1に始まります。
その後、廉価版のGR10、超広角レンズ搭載のGR21、そしてGR1の改良版であるGR1s・GR1vと、フィルムの時代には幾度も関連機種・改良機種が生まれました。
そんなリコーGR1の特徴。
それが、超高性能のレンズを搭載しているということ。
GR1の本質は、装着されているGRレンズ 28mm F2.8にあるといって間違いないでしょう。
レンズこそが存在意義。
特定のレンズを使うためだけに手に入れたいカメラ、というものが中古カメラファンの間では確実に存在しますが、リコーGR1もまさに、そんなカメラのひとつなのです。
「一眼レフ以上の性能のレンズ」という開発コンセプト
そして、このリコーGR1は、最初から超高性能レンズ搭載をコンセプトとしたフィルムカメラとして開発されたものだったのです。
そのことは、発売当時にもリコー自身が謳っていますし、いまもリコーのホームページでもコンセプトが明記されています。
リコーGR1のコンセプトとは、具体的には「一眼レフカメラの広角レンズと、同等以上のレンズを搭載したカメラ」というもの。
リコーGR1の発売した1996年の時点でも、すでにCONTAX TシリーズやNikon 28Tiといった高級コンパクトカメラは登場していました。
それらのカメラも当然高性能レンズを搭載していたものの、どちらかといえば、カメラ全体の高級感を設計思想としたもので、結果としてレンズも高性能になった、という色の強いものでした。
それに対して、リコーGR1は、はじめから「高級」カメラというものを意図して作られたものではありませんでした。
ボディはマグネシウム合金製。
いうまでもなく、1990年代以降、プロが使用する「仕事の道具としての」一眼レフカメラに頻繁に採用されるようになったものです。
堅牢かつ軽量。
他の高級コンパクトカメラが、見た目の華やかさも味わえるチタンをボディ外装に採用していたのに対して、非常に実用を重んじた選択です。
GR1はあくまでも実用のカメラ。
写真家が、カメラマンが、プロのツールとして選ぶもの。
現在では高級コンパクトカメラの範疇で語られがちな、フィルム時代のリコーGRシリーズですが、この点において他の高級コンパクトカメラとは一線を画す存在なのです。
機能面でも実用本位
もちろん、その他の点においても実際の使用を念頭に置いた設計が各所にみられます。
たとえば設定やモードの切り替え。
フィルムコンパクトカメラにおいては、電源を切るたびに設定がリセットされてしまう設計というのは、非常によくあるものでした。
しかしその設計思想はあくまで初心者向けのものであって、仕事や作品作りでカメラを使うときにはとても不便なもの。
例を挙げると、ストリートスナップでストロボを炊きたくないのに、電源を入れるたびにストロボ発光がオートになってしまったら、毎回ストロボをOFFにしなくてはならず、不便です。
当然、GR1ではそのような問題はありません。
また他にも、物理ダイヤルによる、直感的な露出補正や、プログラムオートと絞り優先AEをシームレスに切り替えられる右親指ダイヤルなど、プロの使用時にかゆいところに手が届く操作系が各所に取り入れられています。
この設計は、初代GR1の時点ですでに完成していたもの。
不自然なほどの完成度に驚きますが、実は、その裏にはリコーGR1の開発に至る経緯があったのです。
[lux-compact]
リコーGR1の登場に至る1990年代カメラ史
さて、そんなリコーGR1が1996年に登場するにあたっては、その道をまっすぐに整えた、先駆者であるカメラが存在しました。
また写真家たちのカメラの使い方が変わってきたことも、その登場を下支えしました。
1990年代、どのようにしてGR1が登場するに至ったのでしょうか?
コンパクトカメラをプロの写真家が使うようになった
リコーGR1が登場する少し前のこと。
1980年代の後半、プロの写真家が使うカメラに小さな変化が起きました。
それが、家庭用のどこにでもあるコンパクトカメラを使うようになったということ。
といっても、本当に一部、とあるカテゴリの、限られた写真家にとっての出来事です。
コンパクトカメラを使うようになった写真家とは、すなわち、「作家性」の強い写真家のこと。
現代日本の写真家で大御所を挙げるとすれば、荒木経惟と森山大道の2人の名が真っ先に浮かぶはず。
その2人もまさに、コンパクトカメラを使うようになった写真家です。
また、街中の光景をあるがままに切り取るストリートスナップを信条とする写真家の間でも、コンパクトカメラが頻繁に用いられるようになりました。
当時、選ばれたコンパクトカメラの代表格が、コニカ BIGminiとリコーμ。
どちらも、コンパクトカメラとしては描写に優れた単焦点レンズを搭載しているのが特徴でした。
また、当時のコンパクトカメラは、やっとオートフォーカスの性能がこなれてきて、ある程度「押すだけ」でも写真の歩留まりを得ることができるようになったのも、コンパクトカメラが選ばれる理由となりました。
リコーも「R1」を送り出す
さて、単焦点レンズを搭載した、カメラ愛好家の使用も念頭に置いたコンパクトカメラという市場が生まれたところで、リコーもそのようなカメラを送り出しました。
それがリコーR1。
GR1の前身となったカメラです。
1994年に発売したリコーR1は非常に薄型のカメラで、グリップ内に35mmフィルムのパトローネを収納することで、「パトローネより薄い」ボディを実現。
しかも高性能の採光式ファインダーを採用し、高級コンパクトカメラとまではいかなくとも、非常に凝った構造を採用していたのです。
しかしそれよりもユーザーに注目されたのは、その搭載レンズでした。
装着されたレンズ、リコーレンズ 30mm F3.5は、スナップに非常に向いているレンズ。
さらに、内蔵されたパノラマモードに切り替えると、コンバージョンレンズにより24mm F8のレンズに早変わりしたのです。
カメラファンの間では、リコーR1からパノラママスクを取り去り、24mm F8の状態で全画面を使う改造も流行しました。
パノラママスクを出した状態のR1s。
レンズ後部のフィルムアパーチャー上下にマスクが飛び出ている。
このマスクを固定したり、物理的に除去することで24mm F8を全画面で使用した。
(パノラマモードとは、1990年代に流行した、35mmフィルムの画面上下をマスクすることで、擬似的に左右横長の画面とする写真のこと。あくまでも擬似的なものでしかなく、トリミングしているだけなので画質が悪く、1990年代後半には廃れてしまいました)
翌1995年にはマイナーチェンジ版のR1sも登場。
カメラファンに歓迎されたR1ですが、しかし、不満を覚える愛好家もいました。
それが、搭載されているレンズの性能がそれほどでもないということ。
あくまでもコンパクトカメラの範疇で作られたレンズでしかなく、解像力や周辺部の描写に不満が残ったのです。
またR1は電源を切ると設定がリセットされてしまい、ストロボ発光禁止などの設定を毎回し直さなくてはならないことも、不満点としてリコーに伝えられたのでした。
R1を元にGR1を開発
さて、そんなユーザーからの要望に、リコーは真摯に応えました。
1996年、リコーR1の不満点をすべて解決したカメラとして、初代GR1をリリース。
前述したように、画面周辺部まですべて解像する超高性能レンズを搭載。
もちろん操作性・使用感も完璧に仕上げられました。
その後も、GR1s、GR1vへの改良時に、ユーザーからのフィードバックが取り入れられています。
ユーザーとともに進歩したカメラ。
それがリコーGRシリーズだといえるでしょう。
そんなリコーGR1は、前述した写真家の森山大道が愛用したカメラとしても知られています。
GR1にトライXを詰めて新宿を撮る。
おそらく、GR1を手に入れた写真愛好家の方は、一度は森山大道気取りで撮影に出かけたことがあるのでは。
ストリートスナップのために作られたGR1には、やはり猥雑な街こそがもっとも似合います。
GR1で使ってみたいフィルム、トライXについては以下の記事も参考にしてみてくださいね。
独創的なカメラを作ってきたリコー
さて、GR1の登場は、リコーというカメラメーカーの持ち味があってこそのことでもありました。
GR1を始めとするGRシリーズを生み出したリコー。
2010年代に入りPENTAXを傘下に収めるなど、中堅カメラメーカーとして知られていますが、しかしながら、リコーは本来けっして華やかなメーカーではありませんでした。
リコーのカメラのうち、史上特筆されるべきものとしては、まずはリコーフレックスが挙げられるでしょう。
リコーフレックスは、1950年代初頭、他メーカーの二眼レフカメラより大幅に安い定価で価格破壊を成し遂げた製品。
しかし、コストダウンのために採用した、上下のレンズをギアで連動させる方式は、(海外に先例はあったものの)非常に独創的な発想でした。
リコーフレックスVII型(中央)
このモデルでも、上下のレンズはギヤで連動している。
また1970年代には、こちらもやはり他社のカメラより大幅に廉価な一眼レフ、XR500がヒット商品となりました。
こちらもまた、使用可能なシャッター速度を割り切って減らす、当時としては珍しいプラスチックの多用など、思い切った設計で知られています。
その他にも、ウエストレベルとアイレベルが切替可能な一眼レフ、リコーTLS401や、ぜんまい巻き上げの超小型ハーフサイズカメラ、リコーオートハーフなど、リコーのカメラにはかずかずの、そして独自性の強い名機がいくつも存在します。
リコーオートハーフS
リコーはあくまでも大衆機、普及機が中心のメーカーではありましたが、その設計には常に工夫が凝らされ、しかもその工夫はユーザーにとって非常に的を射たものでした。
ニコンやキヤノンといった大手メーカーとは異なる、独特のカメラを生み出すメーカー。
独創性こそがリコーの持ち味だったのです。
決して目立たないメーカーながら、着実にカメラを作り続けてきたリコー。
独創性を育み、その結果がGRシリーズとして結実したといえるでしょう。
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高級コンパクトカメラの購入で迷ったら
リコーGR1は、高性能レンズを積んだコンパクトカメラの代表的存在。
でも、同様の高性能コンパクトは、他のメーカーからも登場しています。
質実剛健なGRか、華やかな他社のコンパクトか。
もし高級コンパクトカメラの購入で迷ったら、ぜひこちらの記事もご覧ください。
GR1に負けず劣らずの名機たちを紹介しています!
リコーGRシリーズ各機紹介
さて、それでは、ぜひ中古で手に入れて使ってみたいリコーGRシリーズの各機種を紹介します。
超高性能レンズを使うための「本気」のカメラ、それがリコーGRシリーズ。
中古フィルムカメラを「ガチ」で使うなら、GRシリーズは最適の選択肢です。
リコーGR1
形式 | 35mmコンパクトカメラ |
シャッター | レンズシャッター 2秒〜1/500秒 |
レンズ | GR Lens 28mm F2.8 |
AE | プログラムAE 絞り優先AE |
ファインダー | 採光式フレームファインダー |
AF | パッシブ式オートフォーカス 被写体自動選択マルチフォーカス |
カラー | ブラック、シルバー |
外装 | マグネシウム |
電池 | CR-2リチウム電池(Amazon)x1 |
発売 | 1996年10月 |
1996年。
最初に発売されたのが、この初代GR1。
この時点で、すでに完成の域に達しており、後継機種では細かな部分のアップデートが重ねられていくことになります。
レンズは銘玉中の銘玉、リコーGRレンズ28mm F2.8。
このレンズは基本的に変わらず、後の機種にも受け継がれていくこととなります。
初代GR1が他のGRシリーズと異なる点としては、フードの取り付けができないということ。
初代機種ということもあり、中古での価格は比較的安めですが、状態の良い個体を選べば実用上、まったくもって問題はありません。
リコーGR10
形式 | 35mmコンパクトカメラ |
シャッター | レンズシャッター 2秒〜1/500秒 |
レンズ | GR Lens 28mm F2.8 |
AE | プログラムAE |
ファインダー | 採光式フレームファインダー |
AF | パッシブ式オートフォーカス 被写体自動選択マルチフォーカス |
カラー | シルバー |
外装 | アルミシウム |
電池 | CR123Aリチウム電池(Amazon)x1 |
発売 | 1998年4月 |
リコーGR10は、GR1の廉価版に位置づけられる機種。
プロやハイアマチュア向けの機能を省き、カメラに詳しくないユーザーでも高性能のGRレンズを楽しめるように作られたカメラです。
各所がコストダウンされており、外装は他のGRシリーズのマグネシウムとは異なり、アルミニウム製。
カラーはシルバーのみです。
露出モードは絞り優先AEがなくなり、プログラムAEのみとなりました。
それでも、手間の掛かった採光式ブライトフレームのファインダーは存知されており、充分にGRの使い心地を満喫できるでしょう。
中古価格は安め。
ただし、他のGRシリーズも以前よりはリーズナブルになってきているため、あえてこのカメラを中古で選ぶことは少ないかもしれません。
リコーGR1s
形式 | 35mmコンパクトカメラ |
シャッター | レンズシャッター 2秒〜1/500秒 |
レンズ | GR Lens 28mm F2.8 |
AE | プログラムAE 絞り優先AE |
ファインダー | 採光式フレームファインダー |
AF | パッシブ式オートフォーカス 被写体自動選択マルチフォーカス |
カラー | ブラック、シルバー |
外装 | マグネシウム |
電池 | CR-2リチウム電池(Amazon)x1 |
発売 | 1998年4月 |
GR1sは、GR1の最初のマイナーチェンジバージョン。
スペック表を上掲しましたが、見ての通り、カタログスペックとしては初代GR1と変わりありません。
では何が変わったのかというと、主にユーザーの要望を反映した部分。
まず、このGR1s以降、フードの取り付けが可能となりました。
フードはワンタッチで着脱可。
また、「フィルターリング」を介することでフィルターの取り付けも可能です(フィルター径は30.5mm)。
さらに、ファインダー内に照明が追加され、夜間や低照度時の撮影が便利になりました。
リコーGR21
形式 | 35mmコンパクトカメラ |
シャッター | レンズシャッター 2秒〜1/500秒 |
レンズ | GR Lens 21mm F3.5 |
AE | プログラムAE 絞り優先AE |
ファインダー | 採光式フレームファインダー |
AF | パッシブ式オートフォーカス 被写体自動選択マルチフォーカス |
カラー | ブラック、シルバー |
外装 | マグネシウム |
電池 | CR-2リチウム電池(Amazon)x1 |
発売 | 2001年4月 |
リコーGR21は、GR1の基本設計はそのままに、レンズを超広角の21mm F3.5に置き換えたモデル。
GR1の28mmは広角レンズとしては比較的メジャーな、誰にでも使われる焦点距離でしたが、21mmともなるとまさに「超」広角そのもの。
異次元の広さ、桁違いの画角を味わうことが可能です。
GR21が搭載したレンズは、リコーGRレンズ 21mm F3.5。
いうまでもなく、GRレンズの名に恥じない、画面周辺まで性能の低下することのない超高性能レンズです。
ファインダーも超広角レンズに対応しなくてはならなかったこともあり、ボディサイズはわずかに増加。
奥行きと幅は同じですが、高さが3mmだけ大きくなっています。
リコーGR1v
形式 | 35mmコンパクトカメラ |
シャッター | レンズシャッター 2秒〜1/500秒 |
レンズ | GR Lens 28mm F2.8 |
AE | プログラムAE 絞り優先AE |
ファインダー | 採光式フレームファインダー |
AF | パッシブ式オートフォーカス 被写体自動選択マルチフォーカス マニュアルフォーカス可能 |
カラー | ブラック、シルバー |
外装 | マグネシウム |
電池 | CR-2リチウム電池(Amazon)x1 |
発売 | 2001年9月 |
フィルム時代のリコーGRシリーズの完成形。
それがGR1vです。
発売は2001年の9月と、すでにデジタルカメラへの移行が現実に近づきつつあった時代。
当のリコーも既に、コンパクトデジタルカメラをいくつもラインナップしていました。
それだけに、最後になるかもしれないマイナーチェンジとして、気合の入ったカメラとなったことは想像に難くありません。
カタログスペックの面では、こちらも初代GR1から大きく変わらないもの。
GR1s同様、フードやフィルターの取り付けが可能です。
機能面でもっとも大きな違いが、このGR1vではマニュアルフォーカスが可能となったということ。
他の高級コンパクトカメラではMFを搭載したカメラがいくつか存在していましたが、これでリコーGRシリーズも、機能面で肩を並べたこととなります。
また、フィルムの感度設定がそれまではDXコードのみだったのに対し、GR1vでは手動設定が可能となりました。
なぜそれまでなかったのか不思議なくらいですが、これでトライXをISO1600に増感することが普通にできるようになりました。
加えてオートブラケットも追加されています。
もしこれから中古でリコーGR1を買うなら、完成度の面から見て、このGR1vがもっともおすすめできる選択肢であることはいうまでもありません。
それだけに、中古での価格相場も、初代GR1やGR1sに比べて高めに推移しています。
しかし、その価格差を埋めるだけの価値があるカメラであることは厳然たる事実。
もし状態の良い中古と出会えたら、ぜひ手に入れたい名機です。
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ライカLマウントのGRレンズ
さて、リコーGR1は、レンズありきで設計・開発されたカメラであることは既に述べました。
超高性能のGRレンズ。
もしそんなレンズが他のカメラでも使えたら……。
なんと、リコーはユーザーのそんな要望にも応えたのです。
GR Lens 28mm F2.8(Lマウント)
1997年。
リコーGR1に搭載されたGR Lens 28mm F2.8が、そのままライカLマウント(L39スクリューマウント)用にコンバートされ登場しました。
レンズそのものは、GR1のレンズとまったく同一のもの。
限定3000本しか世界に存在しないため、現在では中古市場で非常に珍重されています。
GR Lens 21mm F3.5(Lマウント)
1999年には、2本目のLマウントGRレンズとして、21mm F3.5が登場。
これはGR21のレンズと同じものですが、実は発売はこちらのほうが先。
この交換レンズが好評を博したため、逆にこの製品を組み込んだカメラとしてGR21が発売されたのです。
こちらは1700本限定と、更に希少なレンズになっています。
超広角レンズですが、α-7やα-9をはじめとするミラーレス一眼カメラでも、マウントアダプターを介して問題なく使用可能です。
ただしフィルム時代のレンズに共通する問題として、画面周辺部の色かぶりは生じてしまいます。
もしこのレンズの性能をフルに味わうなら、Lマウントの中古フィルムカメラに装着して使うか、GR21を手に入れるのがおすすめです。
フィルム時代のGRシリーズを中古で探すとき気をつけること
さて、そんなリコーGRシリーズをこれから中古で入手する場合、いったいどんなことに気をつけたらよいのでしょうか?
液晶の液漏れに注意
フィルム時代のGRシリーズに共通してありがちな不具合。
それがボディ上面の液晶の液漏れです。
実害として、撮影モードなどの情報が非常に見にくくなってしまいます。
他の部分の動作に問題がないことも多いため、安価な中古を入手したいときには、あえて液漏れしているものを選ぶのも、なしとはいえなくもありません。
初代GR1の持病に注意
初代GR1は巻き上げに不具合を抱えているため注意が必要です。
具体的には、巻き上げが不安定でフィルムのコマ間が不揃いになること。
そして巻き上げ時の異音です。
ただしこれは初代GR1のなかでも初期型にのみ見られるトラブルなので、対策されている個体も中古には多く存在します。
デート機能の有無
デート機能(日付写し込み機能)の有無も、GRシリーズを中古で選ぶときのポイント。
もしこれからフィルム時代のGR1を買うなら、できればデートなしのモデルのほうが格好良いですよね。
むしろ、GR1にデート付きを用意したのはいらないお節介と感じてしまうくらいです。
ブラックとシルバー
GR1各機種とGR21にはボディ色がブラックとシルバーの2種類存在するので、どちらを選ぶのかもこだわりたいところです。
デジタル時代のGRがブラックのみになったことから、やはりブラックのほうが人気があるのかと思いきや、シルバーを愛用してい方も多いようで、価格差もあまりみられません。
こちらは好みで選んで問題ないでしょう。
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デジタル時代のGR
さて、そんなリコーGRシリーズは、御存知の通りデジタル時代にも展開されています。
最後に、簡単にデジタルのGRについても紹介したいと思います。
GR Digital 初代
2005年に発売した初代GR Digital。
画素数は813万画素、撮像素子は1/1.8型CCDです。
搭載レンズはもちろんGRレンズ。
撮像素子が小さいため、35mmフルサイズ換算で28mm相当の5.9mm F2.4となりました。
筆者も実際に使っていたことがありますが、画素数こそ少ないものの、レンズは切れ味鋭いGRそのもの。
ただしSDHCカードが使えず、最大容量が4GBまでとなるのが今となっては古さを感じさせます。
GR Digital II
2007年のGR Digital IIでは、画素数が1001万画素に増加。
SDHCカードが使用可能となりました。
(筆者も使っていましたが、公式では8GBまでとのことでしたが16GBでも問題なく認識しました)
撮像素子は1/1.75型とわずかに大きくなっています。
GR Digital III
2009年のGR Digital IIIではレンズが変更されたのが最も大きなポイント。
GRレンズ6.0mm F1.9と、フィルム時代よりも1段明るいレンズを採用しています。
画素数は約1000万画素CCDです。
RICOH GXR + GR LENS A12ユニット
「撮像素子ごとレンズを取り替える」という斬新なコンセプトで登場したデジタルカメラ、リコーGXR。
この1機種で消えてしまったカメラですが、こちらにもGRレンズが存在しました。
それがGR LENS A12ユニット。
APS-Cサイズ相当のCMOS撮像素子を採用し、後述するRICOH GRを先取りした内容となっています。
GXRのGRレンズには2種類が存在し、28mm F2.5相当と50mm F2.5 MACRO相当のものの双方がGRレンズを名乗っています。
GR Digital IV
「GR Digital」の最後を飾ったのがGR Digital IV。
2011年発売です。
AF性能が向上したほか、手ぶれ補正を内蔵。
ストリートスナップにとって嬉しい機能です。
レンズは引き続き、6.0mm F1.9を搭載しています。
画素数は約1000万画素、CCDです。
RICOH GR
2013年。
デジタルのGRが刷新されました。
RICOH GRの登場です。
RICOH GRはAPS-Cサイズ相当の1690万画素CMOS撮像素子(ローパスレス)を採用。
デジタル一眼レフカメラに劣らない写真を撮ることが可能となりました。
レンズは18.3mm F2.8です。
そもそもフィルムのGR1のコンセプトが、一眼レフと同等以上の写真が撮れるレンズを搭載したカメラというもの。
それまでのGR Digitalは撮像素子が小型の、あくまでもコンパクトデジタルカメラでしかありませんでした。
それが、このRICOH GRの登場により、再びレンズと撮像素子の双方で一眼レフ同等の存在となったのです。
そのことを強く意識しているのは、外形の寸法が、フィルム時代の初代GR1とまったく同一であることからもわかります。
RICOH GR II
2015年に登場したGR IIは、RICOH GR IIのマイナーチェンジバージョン。
レンズや撮像素子のスペックはGRと同一。
スペック上の差は、Wifi機能を内蔵したこととなります。
リコーGRシリーズでフィルム写真を楽しんでみませんか?
リコーGR1にはじまるGRシリーズは、コンパクトカメラながらプロの道具であることを実現した、新たな領域を切り拓いたカメラ。
ストリートスナップを楽しむなら、中古フィルムカメラを選ぶときにこれ以上の選択肢はありません。
もちろん、超高性能のGRレンズにより、どんな被写体でも破綻なく、美しく切り取ることができますよ。
普段からカバンに忍ばせるもよし。
トライXを詰めて森山大道を気取るもよし。
ぜひフィルム時代のGRシリーズで、あなたの写真の世界を広げてみませんか?
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FM2発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたデザイン!
どこでも持ち歩ける相棒です。
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