Leica(ライカ)クラシカルな機械式M型ライカ・ライカMPの魅力・特徴・性能とは?
ライカMPとはいったいどんなフィルムカメラなのでしょうか?
フィルムカメラのファンなら誰でも憧れるカメラ。
それがM型ライカです。
M型ライカはM8でデジタルカメラとなり、現在も新機種が続々と送り出されています。
しかしながら、ライカは並行してフィルムカメラをいまでも作り続けているのです。
その名はライカMP。
フィルムカメラであるM型ライカ、本来の伝統を受け継いだ存在。
そして、フィルムカメラがほとんど製造されなくなった現在において、現役で販売されている貴重な存在です。
新品では非常に高価なライカMP。
購入時には中古で手に入れるのもおすすめです。
今回はそんな、ライカMPについて解説したいと思います。
目次
ライカMP
中古カメラ専門店サンライズカメラのスタッフが、フィルムカメラファンの視点でライカMPについて紹介します。
まず、ライカMPの特徴について見ていきましょう。
ライカMPの性能・スペック
形式 | 機械式レンジファインダーカメラ |
シャッター速度 | B、1秒〜1/1000秒 機械式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | 内蔵 部分測光 |
ファインダー倍率 | 0.72倍 (ライカMアラカルトにて0.58倍もしくは0.85倍を選択可能) |
ファインダー枠 | 28mm・90mm、35mm・135mm、50mm・75mm |
レンズマウント | ライカMマウント |
巻き上げ | レバー式、1ストローク |
巻き戻し | ノブ式 |
電池 | SR44酸化銀電池(Amazon)x2 |
製造年 | 2003年〜 |
フィルムカメラの生き残りとして貴重な存在
デジタルカメラがカメラの主流となって久しい昨今。
フィルムカメラはほとんど製造されなくなってしまいました。
そんな中で、2003年以来製造され続けている貴重な存在がライカMPです。
ライカMPは、すべてのフィルムカメラファンのあこがれ・M型ライカの伝統をそのまま今に受け継いだレンジファインダーカメラ。
M型ライカ自体が2006年のライカM8以来デジタルカメラになってしまいましたが、そこは世界のライカ。
並行して、伝統の布幕横走りフォーカルプレーンシャッターや、M3以来のフィルム装填方法をそのまま採用したフィルムライカを製造し続けているのです。
ライカMPとはどんなカメラ?
それでは、具体的にはライカMPとはどんなカメラなのでしょうか?
平たく言ってしまえば、ライカM6の外観をM3に近づけた、フィルムカメラの「物」としての魅力をさらに高めたカメラだといえるでしょう。
いまでも中古市場で高い人気を保つライカM6ですが、以前のライカの外観が好きな方にとっては、いまひとつ食指が伸びない存在であることも事実でした。
ライカM6の特徴である、目立つ赤いライカマークや、軍艦部の「M6」の刻印。
モダンな外観ではありますが、M型ライカ本来の見た目を楽しむには、それ以前のライカM3やM2、M4を中古で探すほかなかったのです。
しかし、中古のM3、M2、M4には、そもそも露出計が搭載されていないという不便な点もあります。
便利な露出計を取るか、見た目を取るか。
M型ライカを中古で購入するときには、難しい二択を迫られることになってしまったのです。
そこでライカが選んだ選択は、クラシカルな外観・かつM6の機能を兼ね備えたM型ライカを作るということでした。
M3・M2の遺伝子を受け継いだ外観
2003年に発売されたライカMPは、明らかに、ライカM3やM2の見た目を意識したカメラとして設計されています。
まず、ライカM6の特徴である、赤いライカマークや機種名の刻印はなくなりました。
さらに、軍艦部には筆記体で「Leica」の刻印まで施されています。
軍艦部のデザインはM6のフラットなデザインを受け継いでいますが、シンプルさゆえに、M2のファインダーを連想させる外観であるともいえます。
いっぽう、フィルムカウンターはM3を連想させる自動復元式。
M3とM2、双方を想起させる新鮮なデザインともいえるかもしれません。
そして、巻き戻しはM6のクランク式から、こちらもM3とM2を思い起こさせるノブ式へと原点回帰しています。
外観の面でうれしいのが、シルバーとブラックペイントの両方が用意されているということ。
焼付け塗装が施されているブラックペイント仕様は、黒色のメッキであるブラッククロームとまったく異なる、ライカM3やM2のブラック仕様そのものの質感を味わうことが可能です。
露出計を内蔵しているため、ボディ前面の電池蓋だけは残ってしまっていますが、外観は限りなくM2に、M3に近づいています。
中身は新しいM型ライカ。
見た目は伝統のM型ライカ。
中古の値段がこなれてきたM6を選ぶことも考えているが、見た目が気になる……
そんなときに、中古でも購入可能なライカMPは、うってつけの選択肢になること間違いありません。
新しいレンズにも古いレンズにも似合うカメラ
中古市場に大量に出回っているライカMマウントのレンズ。
好みのレンズ、伝説のレンズを使うことは、M型ライカを扱ううえで楽しみのひとつです。
しかし、中古のレンズを合わせるときに難しい問題がありました。
それは、カメラボディとレンズ、双方の時代が合っていないといまひとつ格好悪いということ。
中古のM6に初期のズミクロンを合わせるのならまだよいですが、古いM3やM2に1979年以降のニュージェネレーションのレンズを組み合わせると、いまひとつ様になりません。
そこで出番となるのがライカMPなのです。
ライカMPは、先述したようにM3やM2を彷彿とさせるクラシカルな外観を保っています。
しかしながら、シャッターダイヤルなどの文字は、ニュージェネレーションのレンズと同じ角ばったフォントを採用。
この折衷した仕様が、逆に古いレンズも、新しいレンズも似合うカメラであることを実現しているといえるでしょう。
100本を超えるライカMマウント純正レンズ。
もちろん、Lマウントレンズや、コニカ、ミノルタ、リコー、フォクトレンダーなどのレンズを中古で手に入れて組み合わせても似合います。
さらにファインダーも28mmから135mmまですべて対応。
もちろん、LMリングを介してL39マウント(ライカスクリューマウント)のレンズを使うのもおすすめです。
多種多様なレンジファインダー用中古レンズの母艦として、ライカMPはどんな使い方をしても格好が良いカメラとして完成しているのです。
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ライカMPを中古で買う
古くて新しいフィルムM型ライカ、それがライカMP。
2003年に発売してから時間が経過し、中古でも手に入れることができるようになりました。
M型ライカは他の機種も含め中古では多数出回っていますが、その中でライカMPを選ぶことにはどんな意味があるのでしょうか?
「新しい」ライカゆえの安定感
どんな中古カメラであっても、購入時にはカメラの状態確認が必須です。
カメラの状態は、経年が増えれば増えるほど、一般的に不良箇所が増えていくもの。
その点、2003年と発売が新しいライカMPは、中古での購入時にも経年劣化の可能性が低い機種であるといえるでしょう。
機能的にはライカM6もほぼ同等ではありますが、1984年と発売が古いライカM6は、個体によってはすでに内部機構が年代相応の状態になっていることも。
M型ライカのオーバーホールにはそれなりの金額が必要になるため、それなら最初から、状態がよいことが予想されるライカMPを選ぶことには意味があるといえるのです。
長く使えるM型ライカ
いっぽうで、これから末永くM型ライカを使っていくうえで、ライカMPがM型ライカの伝統的な構造を受け継いでいることは大きなアドバンテージとなります。
いま状態のよいライカMPを中古で購入した10年後、20年後。
オーバーホールをしたくなることがあるかもしれません。
そのとき、ライカMPでしたら、おそらくオーバーホールが不可能となっていることはないといえるでしょう。
ライカMPの構造はM3以来の伝統的な横走りフォーカルプレーンシャッター。
ファインダーはM2、M4、M6と受け継がれてきた構造と基本的には同じものとなります。
ライカMPなら純正修理も可能ですし、M型ライカには多数の修理業者も存在しています。
仮にトラブルが発生したときも問題がないカメラとして、まさにライカMPは一生ものの存在だといえるのです。
クラシックとモダンが同居した見た目
そして、先に紹介した通り、ライカMPはM型ライカの伝統的な見た目を保っています。
中古のライカM6は見た目が新しすぎて不満。
でもM3やM2、M4を中古で選ぼうにも、本当は露出計がついていたほうがよい。
そんな場合、ライカMPは最適な選択肢になってくれるのです。
ライカMPを楽しむ
ライカMPにはぜひ組み合わせてみたいアクセサリー、そしてマニアックな限定モデルも存在しています。
さらに、現行のライカMP以前、同じMPという名を持つM型ライカも存在していました。
ライカMPを味わううえで知っておきたい豆知識を紹介して、この記事の筆を置きたいと思います。
「ライカビットM」ライカMPに組み合わせたいアクセサリー
ライカMPにぜひ組み合わせてみたいのが「ライカビットM」です。
ライカビットとは、ライカのボディ下部に装着して使うワインダーのこと。
トリガーを引くことにより、通常のレバー巻き上げよりも迅速な巻き上げが可能となります。
このライカビットというアクセサリーは、もともと、バルナックライカや、1950・60年代のM型ライカのために供給されていたアクセサリーに由来しています。
そして当時、ライカビットを装着できたM型ライカに名付けられた名称こそが、「旧・ライカMP」だったのです。
いまライカビットを装着する意味は、「粋であること」、それに尽きます。
ライカビットMはM6やM7にも装着可能ですが、見た目に拘ったM型ライカであるライカMPにこそ、もっとも似合うアクセサリーであるといえるのではないでしょうか。
ライカMPの限定モデル
M6以降の他のM型ライカの例に漏れず、ライカMPにも限定モデルが存在しています。
中古市場では半ばコレクターズアイテムとして扱われています。
ライカMP エディション・エルメス
高級ブランドのエルメスとのコラボレーションモデルです。
2003年発売。
オレンジの貼り革のモデルが100台、カーフスキンの貼り革のモデルが100台の、合計200台だけが販売されました。
ライカMPという名のM型ライカ
ライカビットの項目でも少々書きましたが、かつて、同じ「MP」という名を持つM型ライカが存在しました。
初代・ライカMPは、1956年に製造されたモデル。
ライカM3をベースに、ボディ下部にライカビットを取り付けられるようにしたカメラです。
当時のライカM3はレバーによる2回巻き上げでしたが、プロの間ではさらに迅速な巻き上げが求められていました。
そこで、レバー巻き上げよりも迅速とされるトリガー巻き上げにより、問題の解決を図ったのです。
Pとはプロフェッショナル用という意味。
まさに、プロ用中のプロ用であるM型ライカであるといえます。
しかしこのライカMPは、あまりトリガー巻き上げの必要性が市場に認められなかったのか、わずかな製造台数に終わっています。
レバー巻き上げの時点で旧式のノブ巻き上げよりも巻き上げは十分迅速なことも理由のひとつかもしれません。
1950年代はカメラの巻き上げ方法を各社が模索していた印象があり、例えばキヤノンもボディ下部のトリガー巻き上げを採用していました。
しかし1960年代以降、フィルム巻き上げはレバー巻き上げが標準になっていきます。
露出計の利便性とクラシカルな外観・二度美味しいM型ライカ
このように、ライカMPは基本的には、ライカM6の外観をクラシカルにブラッシュアップしたカメラです。
露出計は欲しいがM6の外観は不満。
そんなとき、中古でも新品よりも安価に購入可能になったライカMPは、うってつけの選択肢となるのではないでしょうか。
また紹介した通り、製造年次が新しいため、中古の個体の状態が基本的によいのも利点であるといえます。
フィルムカメラを中古で探すなら、ぜひ手に入れてみたいM型ライカ。
信頼性と安定性、利便性、そして外観に至るまで兼ね備えた至れり尽くせりのカメラ・ライカMPを、ぜひあなたも中古で手に入れてみませんか?
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