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Leica(ライカ)M2/特徴・性能・選び方 シンプルなM型ライカの美とは?

Leica M2(ライカM2)

Leica M2(ライカM2)とは、いったいどんなカメラなのでしょうか?

今も昔も、フィルムカメラの頂点といえばM型ライカ。
中古フィルムカメラのなかでも非常に人気の高いM型ライカですが、どのライカを選ぶのかはフィルムカメラファンの間で永遠のテーマであるといえます。

なかでもM3を選ぶかM2を選ぶかは非常に難しい問題ですが、もしこれから中古でM型ライカを買うのなら、ぜひおすすめしたいのがライカM2です。
ライカM2の魅力は、シンプルさゆえの美
ファインダーをはじめ、その後のM型ライカの設計の基礎となった内部構造は、いまなお多くの人を魅了してやみません。

今回はライカM2を使ってみようと思う方や、中古で探している方、既に手に入れた方のために、ライカM2の特徴や性能、選び方などのポイントを紹介します。
ぜひ中古購入時の参考にもしてみてくださいね!

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Leica M2(ライカM2)

まず最初に、Leica M2(ライカM2)とはいったいどんなカメラなのか解説します。

Leica M2(ライカM2)の性能・スペック

Leica M2(ライカM2)

形式 機械式レンジファインダーカメラ
シャッター速度 B、1秒〜1/1000秒
機械式
横走り布幕フォーカルプレーンシャッター
露出計 なし
ファインダー倍率 0.72倍
ファインダー枠 35mm、50mm、90mm
レンズマウント ライカMマウント
巻き上げ レバー式、1ストローク
巻き戻し ノブ式
製造年 1957〜1970年

Leica M2(ライカM2)はM3の単なる簡略版ではない

Leica M2(ライカM2)は、1957年から製造されたM型ライカの1機種。

1954年に発売されたライカM3から、ファインダーをはじめとした各部を簡略化した機種とされています。

しかしながら、各部にライカM3とは異なるコンセプトを導入したことから、ライカM2は、同じM型ライカであっても、M3とはまったく異なるカメラとして使われることとなりました。
現在でもM3と並んで中古市場では非常に高い人気を保っており、M2とM3のどちらを愛用するのかということだけで、フィルムカメラ愛好家としてのポリシーが決まってしまうと言っても過言ではありません。

Leica M2(ライカM2)のファインダー

Leica M2(ライカM2)

ライカM2でライカM3から変更された点は多岐にわたります。

まず、最も大きな違いがファインダー

Leica M3(ライカM3)では等倍に近い、非常に精緻な構造のファインダーを搭載していましたが、M2ではこの部分を変更。
ライカM3では基本的に光線を直角に曲げる構造を取っていたのですが、M2では光の経路の中に斜めの部分が生じており、構造上は簡略化した形態となっています。

しかしながら、ただ単に簡略化しただけではないのが、M2がM3とまったく異なるカメラになった理由でした。

ライカM3のファインダー倍率0.91倍に対して、ライカM2のファインダー倍率は0.72倍。
ライカM3のファインダー枠は50mm、90mm、135mmであるのに対して、ライカM2は35mm、50mm、90mm。

このファインダーの変更により、ライカM2はライカM3に対し、広角35mmがそのまま使えるという大きなアドバンテージを得たのです。
(ライカM3用にも35mmのレンズはありましたが、いわゆる「眼鏡」付きという、ファインダーの前に光学系を置いて50mmファインダーを強引に35mmとするものでした)

レンジファインダーカメラが得意とする焦点距離は望遠よりも広角。
その点、ライカM2を選ぶことで、使用頻度の高い広角35mmと標準50mmをどちらともにそのまま使うことが可能となるのです。

ライカM3のファインダーはいまでも中古フィルムカメラ愛好家の間で伝説として名高いものですが、M2のファインダーがM3に劣るかといえば、必ずしもそうではありません。
古きよき時代のM型ライカの作りだけあって、その見えは抜群。

このライカM2のファインダーは、その後のLeica M4(ライカM4)Leica M6(ライカM6)といったM型ライカにもそのまま受け継がれているもので、完成度としても非常に高いものです。
むしろ、M2こそがその後のM型ライカの始祖だと言っても言い過ぎではないでしょう。

また、中古で購入するにあたり、このファインダーの構造はメリットであるともいえます。
構造が複雑なライカM3では、ファインダーに衝撃が加わった際に「ブラックアウト」という致命的な故障が生じてしまうことがあります。
しかしライカM2なら、ファインダーそのものが使い物にならないような致命的な故障に至る可能性は比較的低いのです。
(もちろんライカM2の場合でも衝撃を与えたり、落下品を中古購入することは避けたほうがよいのは言うまでもないことです)

ライカM3についてはこちら

使い方についても解説しています。
基本的にはM2も使い方は同様なので、使用時の参考にもご覧ください。

フィルムカメラの頂点・ライカM3 使い方、中古の選び方徹底ガイド

Leica M2(ライカM2)のその他の変更点

Leica M2(ライカM2)

その他にも、ライカM2にはライカM3からの変更点が存在します。

目立つ点としては、ライカM3では自動復元式だったフィルムカウンターが手動復元になったということ。
次機種のM4では自動復元に戻ったため、フィルムカウンターが手動復元のM型ライカはM2(とM1)のみです。

また、これは製造された年代にもよりますが、セルフタイマーが省略されている個体があることもライカM2の特徴です。

外観上では、ライカM3ではファインダーの周りに出っ張った縁取りがあるのに対し、ライカM2ではファインダー窓部が凹んだだけのシンプルなデザインになっていることが一目で見分けられる特徴だといえるでしょう。

シャッターは他のM型ライカと共通の最高速1/1000秒。
フィルム巻き上げは1回巻き上げで、巻き戻しはノブ式です。

広角に強いという特色を活かして

Leica M2(ライカM2)

ライカM2が同時代のカメラとして写真家・カメラマンに使われていた時代。
とくに1960年代においては、ライカM2はライカM3に比べて尖った存在でした。

どちらかといえば「てんこ盛り」でお大尽のカメラの趣もあったライカM3に対して、ライカM2は無駄がなく研ぎ澄まされた、写真表現や報道の最前線で使われる道具

その特色はやはり、ファインダーの違いによるものが大きいでしょう。
ニコンFがすでに登場している1960年代、望遠は一眼レフに任せることができました。
いっぽう広角側の撮影はレンジファインダーに利があるもの。
望遠側はニコンで、広角側はライカM2で。
2台のカメラを提げて使うスタイルは、それだけで1960年代を想像させるものだといえるのではないでしょうか。

もしこれから中古でライカM2を手に入れるとしたら、ぜひ1960年代の報道写真家の気分に浸ってみたいものです。

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ライカM2を買うなら35mmレンズがおすすめ

これからライカM2を中古で買うなら、ぜひ35mmレンズを一緒に買いましょう。

ベストなのはズミクロン35mmですが、手頃な値段で探すなら、L-Mアダプターをつけたズマロンもおすすめです。

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ライカM2の中古購入のポイント・見分け方

それでは、これから中古でライカM2を手に入れるとしたら、どんなポイントに気をつければよいのでしょうか?

以前に比べれば中古価格もこなれてきたM型ライカ。
ぜひ状態のよい個体に出会って、末永く愛用していきましょう。

ライカM2の変更点

ライカM2には、製造中に変更された点がいくつか存在しています。
大きく初期型・中期型・後期型に大別されますが、実用にあたっては状態のほうを優先して中古を探したほうがよいかと思われます。

中古価格のうえでも明白な差はありません。

巻き戻しがボタンかレバーか

まず製造途中で変更された点として、巻き戻しをボタンで行うか、レバーで行うかということが挙げられます。

初期型のライカM2は、ボディ前面にあるボタンを押しながら巻き戻す形式を採用しています。

ライカM2後塗りブラック
ボディ左側のR刻印がある箇所が巻き戻しボタン(画像は後塗りブラック)

ほんとうの初期には、ボタンを押している間にしか巻き戻すことができない機構となっていましたが、途中でボタンを一度押すとロックされる形に改良されました。

中期型以降では、レバーを倒すことで巻き戻し状態になるように変更されました。

Leica M2(ライカM2)
巻き戻しがレバーに変更された

セルフタイマーの有無

もともと、ライカM2には基本的にはセルフタイマーはありませんでした。

製造中期までセルフタイマーは存在しないままでしたが、後期になり、ボディ前面にセルフタイマーが追加されています。

Leica M2(ライカM2)

これからライカM2を中古で買う場合、セルフタイマーを実用する可能性はあまりないので、見た目の好みで選んでしまってかまわないでしょう。

ファインダー採光窓の違い

ライカM2のレンズの真上にある、ファインダーの採光窓

この部分のデザインも製造途中で変更されています。

初期のライカM2では、「内ギザ」と呼ばれる、採光窓に細い13本の縦線が刻まれたものが存在しています。

ライカM2 内ギザ
内ギザ

製造前期にこの採光窓は「外ギザ」と呼ばれる7本の縦線が刻まれたものに変更されました。
「外ギザ」は、次機種のM4にも共通するデザインとなっています。

Leica M2(ライカM2)
外ギザ

愛好家の間では内ギザのほうが美しいとする向きもあるようですが、こちらについても見た目の好みと、中古個体の状態を優先して選ぶのがよいでしょう。

ライカM2の代表的な変更点としては、以上の通り、巻き戻し方法、セルフタイマー、採光窓が挙げられますが、愛好家の間で研究が絶え間なく続くライカの常で、おそらく例外もあることと思います。
もし中古でライカM2を手に入れたら、シリアルナンバーと照らし合わせて、自分のライカはいったいどんなライカなのか調べてみるのも、ライカならではの楽しみです。

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ライカM2のマニアックなモデル

さて、他のライカと同様、ライカM2にも中古市場で珍重されているマニアックなモデルが存在しています。

もちろんライカだけあって中古価格は非常に高価となってしまうものもありますが、ライカの魅力に取り付かれたあかつきには、いつかは手にしてみたいモデルに変わるのではないでしょうか。

ライカM2 ブラックペイント

ライカM2のなかでも、中古市場で珍重されているものの筆頭がブラックペイントモデルでしょう。

製造台数はわずかに2,000台。
8万台以上が製造されたライカM2のなかでも非常な少数派です。

ライカM2のブラックペイントモデルは塗装が非常に弱いことでも知られていますが、どんなに塗装がボロボロになっていたとしても、オリジナルのブラックペイントは非常な高値で中古取引されています

さて、オリジナルのブラックペイントとは別に、もともと通常の銀色のボディを黒く塗った「後塗り」の個体も中古で出回っていますが、こちらはオリジナルとは違い安価です。
気軽に黒いライカM2を楽しむことができますが、後で塗られたということは確実に後年に人の手が入っているため、仮に中古で選ぶ場合には、メンテナンス・オーバーホールが確かになされた個体を選ぶことが重要です。

ライカM2後塗りブラック
↑この写真は後塗りの個体となります。

ライカM2-M

モータードライブを使用できるようにしたライカM2です。
完全なるコレクターズアイテムだといえるでしょう。

ボディの刻印にはMがあるものとないものが存在しています。

製造台数は200台あまりと言われています。

Leica M2-R(ライカM2-R)

Leica M2-R(ライカM2-R)

ライカM2-Rは、ライカM4の製造が始まった後の1969年に製造されたモデル。

ライカM2のボディに、ライカM4で採用されたラピッドローディングシステムを組み込んだ個体となります。

ライカM2-Rはもともと米軍向けにオーダーされたモデルであったようですが、その後一般市場向けにも同仕様のモデルが用意され、前者は単にM2という刻印、後者はM2-R刻印となっています。

Leica M2-R(ライカM2-R)

そのほかにもライカM2には、主に軍用として少数製造されたモデルが存在し、中古市場ではマニア向けのコレクターズアイテムとして扱われています。

Leica M2(ライカM2)で使えるおすすめ用品

露出計のないフィルムカメラの使用にあたっては、アクセサリーシューに取り付けられる露出計を使用するのがおすすめです。 中国製の小型クリップオン露出計としては以下のものが。 日本のセコニックの定番露出計としては以下のものが。 それぞれおすすめです。

また、M型ライカをより楽しむならLMリング(マウントアダプター)でさまざまなL39マウントレンズを使うのもおすすめです。

※L-Mアダプターは使用するレンズの焦点距離に対応したものを購入してください。リンク先で選択が可能です。

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省略の美・ライカM2でM型ライカを始めてみませんか?

カメラの機能は多いほうが良いか、少ないほうが良いか。

その意見は大きく分かれると思いますが、これからフィルムカメラを楽しんでいくにあたり、カメラには省略の美学が存在することは大いに共感できることかと思います。

AEさえもないマニュアル露出のカメラを使うのなら、より必要最小限の機能しかないカメラのほうが美しいのではないか。
そう考えたときに、ライカM2はライカM3よりも美しいカメラであることに間違いありません。

中古のM型ライカが手頃な価格で手に入る現在、M2とM3の値段もまた大きく変わるものではありません。
それなら、よりシンプルで、より美しいライカを選ぶのは、とても通好みの選択肢とさえいえるのではないでしょうか。

シンプルなライカ、必要な機能だけを備えたライカ。
ライカM2はそんな、「Less is More」を体現したようなレンジファインダーカメラなのです。

ぜひあなたも、中古で手に入れたライカM2を操って世界を切り取ってみませんか?

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更新履歴

2022年8月5日

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著者紹介: サンライズカメラ

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