Nikon(ニコン)F100/コンパクトなボディに高性能を詰め込んだF5の弟分
Nikon F100(ニコンF100)は、F一桁機であるF5の弟分として1998年に登場したAFフィルム一眼レフカメラの中級機。
1990年代後半のニコンが製造したカメラのなかでも、名機中の名機といってよいでしょう。
特徴は、Nikon F5(ニコンF5)が搭載した機能をそのまま受け継いだ高性能。
ニコンF5は確かに、F一桁機ならではの性能と堅牢性を兼ね備えたカメラではありました。
しかし、大型化しすぎたボディには取り回しに難があることも事実だったのです。
そんな、F5に不満を覚えたユーザーのニーズに答えたのがNikon F100(ニコンF100)というカメラ。
実際、新品で販売されていた当時には、F5ではなくあえてF100を使っていたユーザーも多かったようです。
AF時代のニコンフィルム一眼レフを中古で買うなら、もっともおすすめできるカメラ、それがF100。
今回はそんなF100について、中古フィルムカメラ専門店サンライズカメラのスタッフが紹介します。
目次
Nikon F100(ニコンF100)
まず、Nikon F100(ニコンF100)とはどんなカメラなのか概要を紹介します。
ぜひ中古購入の参考にしてくださいね。
Nikon F100(ニコンF100)の性能・スペック
↑マルチパワーバッテリーパックMB-15を取り付けた状態
形式 | 35mmフィルム一眼レフカメラ |
シャッター | B、30秒〜1/8000秒 電子式 縦走りフォーカルプレーンシャッター |
露出計 | TTL開放測光による、 マルチパターン測光 中央部重点測光 スポット測光 |
露出制御・AE | プログラムAE(Pモード) 絞り優先AE(Sモード) マニュアル露出(Mモード) |
ファインダー | 固定式・アイレベルファインダー 視野率約96% 倍率約0.70倍 |
レンズマウント | ニコンFマウント(AF接点付き) |
対応レンズ | AFレンズ(Gタイプ):全機能使用可能 AFレンズ(Dタイプ):全機能使用可能 上記以外のAFレンズ:3D-10分割マルチパターン測光、3D-マルチBL調光を除き全機能使用可能 Ai-Pレンズ:3D-10分割マルチパターン測光、3D-マルチBL調光、AFを除き全機能使用可能 Ai-S、Aiレンズ:Aモード、Mモードのみ使用可能 F3AF用レンズ:Ai-Sレンズ同等として使用可能 非Aiレンズ:使用不可 |
連写速度 | 4.5駒/秒 5駒/秒(マルチパワーバッテリーパックMB-15使用時) |
電池 | 単3乾電池4本(単3ホルダーMS-12使用時) CR123A(Amazon)またはDR123A x2本(3VリチウムホルダーMS-13使用時) 単3乾電池6本もしくはニッケル水素電池MN-15(マルチパワーバッテリーパックMB-15使用時) |
発売年 | 1998年 |
参考文献:「F100:主な仕様 – フィルム一眼レフカメラ | ニコンイメージング」(2022年4月1日閲覧)
Nikon F100(ニコンF100)の特徴
ニコンF100はニコンF5の弟分として送り出されたカメラです。
Nikon F5は、プロが使うことを目的として1996年に登場した一眼レフカメラ。
↑Nikon F5
基本的には、最上級機のNikon F5に対してF100が中級機という位置付け。
F5で取り入れられた新技術をもとに、中級機としての味付けを加えたカメラだといえるでしょう。
とはいえ、フィルムカメラが新品で現役販売されていた当時には、F5ではなくあえてF100を選ぶ人も多かったというくらい、両者はそれぞれのメリットが際立って、異なっていました。
例えていうならば、デジタルカメラの時代である現代、D4やD5とD800やD810が異なる用途のカメラとなっているのと似通った立ち位置であるといえるのではないでしょうか。
重すぎる・大きすぎるF5に対しての「回答」
F一桁のフラッグシップ機であるF5は、堅牢性も信頼性も完璧なカメラでした。
しかしながら、完成度の高さとは裏腹に、F5には難点がありました。
それは、あまりにも大きすぎ、重すぎたということ。
ニコンF5ではバッテリーグリップがボディと完全に一体化されているため、ともすればボディが大きすぎて持て余すことにもなってしまったのです。
一方でF100では、前代のF一桁機であるF4と同様、バッテリーグリップは別体式。
それにより、そこまでの連射性能を必要としないユーザーにとって、軽量なボディを軽快に使うことができるというメリットを提供することができたのです。
Nikon F100とF5の違い
それではニコンF100とF5にはどのような違いがあるのでしょうか。
まず異なるのは測光方式。
ニコンF5では3D-RGBマルチパターン測光を採用しているのに対して、ニコンF100では3D-10分割マルチパターン測光を搭載しています。
もちろんF5のほうがスペック上の露出精度は高く、どんな場面でも適正な露出を求めることが可能とされています。
とはいえ、両者の露出精度は実用上は違いを意識せずに使える範囲。
ネガフィルムで使ううえではF100も、F5に伍して良好な露出を得ることが可能です。
また連射速度も異なり、ニコンF5では最高8駒/秒の連射が可能だったのに対して、ニコンF100では5駒/秒(マルチパワーバッテリーパックMB-15装着時)に留められています。
しかしこちらも、フィルムカメラは基本的に中古で購入するものとなった現代からすれば、どちらもオーバースペックすぎるほどのもの。
ニコンF5では4秒程度、ニコンF100では7秒程度で36枚撮りフィルムを撮りきってしまうので、現在そこまでの連射を行うことはないでしょう。
中古でフィルムカメラを購入するときには、ニコンF5とF100の性能上の違いはそこまで意識する必要がない程度のもの。
むしろF一桁機のしっかりとした作りをF5で楽しむか、軽快な撮影感をF100で味わうか、という視点で両者を比較するのがおすすめです。
なお、F5ではファインダーの交換が可能でしたが、F100ではファインダーは固定式となっています。
Nikon F100とF5の性能が同一の部分
逆にニコンF100とF5では性能的に同一といえる部分も存在しています。
もっとも重要なのはAF速度とAFポイント。
F100もF5も、どちらもAF測距点は5点。
AF速度も、現代の目から見ればどちらも同等と言って差し支えありません。
現役当時のユーザーから見ても、AF性能がどちらも大差ないことはF100購入時の大きなアピールポイントでした。
むしろ、各部の操作性も含めて現代のデジタル一眼レフと変わらず使えるため、フィルムカメラならではの撮影した写真の質感をスムースなAFで楽しめることも、現代の目から見るとF100の大きなメリットだといえるのではないでしょうか。
またニコンF100のボディは、こちらもF5ゆずりのマグネシウム製。
マグネシウムボディの堅牢性もまた、F100がF5に伍してプロにも愛用された理由のひとつです。
Nikon F100のライバル Canon EOS 3
さて、そんなNikon F100(ニコンF100)には直接のライバル機種がありました。
それがCanonのEOS 3。
こちらも、最上級機のEOS-1に比類する性能を持つ下剋上カメラでした。
1990年代後半を代表する名機。
どちらもおすすめなので、ぜひ比較してみましょう。
Nikon F100(ニコンF100)で使えるレンズ
ニコンF100は、Ai以降のレンズであれば問題なく使うことができる、互換性の高さも魅力です。
豊富な中古ニッコールレンズの母艦として活用できますよ。
とはいっても、ニコンのレンズ互換性は知識がないとわかりにくいもの。
ここでは、ニコンF100で使えるレンズについて解説します。
使用できるレンズ
まず、GタイプとDタイプのAFニッコールレンズは一切の制限なく使用可能です。
↑Gタイプレンズの例:AF NIKKOR 50mm F1.4G
↑Dタイプレンズの例:AF NIKKOR 50mm F1.4D
次に、レンズ名にGやDのつかないAFニッコールレンズは、3D-10分割マルチパターン測光を除いて制限なく使用可能となっています。
つまり、露出計の測光方式が中央重点測光またはスポット測光になる以外は制限なし、ということです。
↑G・Dタイプではない例:AF NIKKOR 50mm F1.4
そして、MFレンズであるAi-SニッコールとAiニッコールでは、AFが使用できないことと、上記のマルチパターン測光が使えないという制限があります。
↑F100で使用できるMFレンズ(Ai方式)の例:Ai NIKKOR 50mm F1.8S
ここまでに書いたレンズが、ニコンF100で使用できるレンズとなります。
使用できないレンズ
使用することができないのは、Aiレンズが登場するより前に製造されたレンズ。
オートニッコール、ニューニッコールといったいわゆる非Aiレンズは使用することができません。
↑使用できないレンズ(非Aiレンズ)の例:NIKKOR-S Auto 50mm F1.4
ニコンF100では、Ai連動爪を跳ね上げることができません。
そのため、絞り環とAi連動爪が干渉してしまい、物理的に非Aiレンズを取り付けることができないのです。
ちなみに兄貴分であるニコンF5でも、購入時の状態では同様の理由で非Aiレンズを使用することはできませんが、こちらは上級機だけあり、サービスセンターでの改造により、取り付けを行うことが可能です。
ニッコールレンズの種類についてはこちらもご覧ください。
操作系はデジタル一眼レフと同一
いまニコンのデジタル一眼レフを使っている方にとっても、中古のニコンF100はとても使いやすいカメラ。
なんといっても、操作系が同一なのです。
というよりも、デジタル一眼レフがフィルム時代の操作系を受け継いだというのが正しいのですが……。
フィルムで撮影してみたい。
でも古いカメラは使い方が難しそう。
もちろんデジタルで露出やフォーカスを合わせられる方なら古い中古カメラでも問題なく扱えますが、中古のF100なら、よりすんなりと使いこなすことができますよ。
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ニコンF100中古購入時のポイント
それではニコンF100をこれから中古で購入する場合、どんな点に気をつければよいのでしょうか。
完全に電子化されたカメラのため、各部の動作をチェックするのは当然。
それに加えて、快適に使うためにぜひ確認したいポイントがあります。
グリップのベタつきに注意
ニコンF100を中古で購入する場合、グリップがベタついていないかを確認するのが大事です。
ニコンF100をはじめ、1990年代後半〜2000年代のフィルム一眼レフ・デジタル一眼レフには、経年劣化によりグリップのゴムがベタついてしまうという「持病」を抱えているものが存在します。
原因はグリップ素材の加水分解。
カメラの機械的機能に問題はないのですが、基本的には進行を止めることはできません。
加水分解の程度にはカメラの保管環境により差があるので、中古購入時にはベタつきが生じていない個体を選ぶようにするとよいでしょう。
中古価格はとても安価
さて、ニコンF100の中古価格は、いまとなっては非常に安価です。
そもそもF5でさえ中古が非常に安くなっているのです。
F5の中古相場が3万円前後なのに対し、F100は2万円ほどで買えることも。
F100の現役当時の定価が19万円だったことを考えると、中古価格は捨て値に近いです。
※2022年追記:この記事を最初に公開したときに比べ、多少中古価格は上がっている様子です。
超ハイスペックの、フィルム一眼レフとして完成しきったともいえるボディが非常に安価に中古で手に入る。
これを活用しない手はありません。
Nikon F100(ニコンF100)のレビュー記事
こちらの記事でNikon F100を使った作例を紹介しています!
旅好きなプロフォトグラファーのいくたさんが、フィルムカメラやオールドレンズを相棒として携え、出会った素敵な景色をお見せしていく連載です。
ぜひご覧ください。
F5ゆずりの快適な使用感をコンパクトなボディで
ニコンF100の最大の魅力。
それは、F一桁機であるF5ゆずりの高機能を、他のカメラ同様の小型のボディで実現していることです。
フィルムでの撮影時にベストな露出を得るなら、F100は最高の結果を残してくれること間違いありません。
そして、小型のボディだからこそ、どこにでも持ち出して、いつでもフィルムで写真を残すことができるのです。
ニコンF100はまさに、小型化したF5。
ぜひ中古で手に入れて、いまでも現役で通用する性能を、ぜひあなたも味わってみませんか?
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記事更新履歴
2022年4月1日
参考文献をもとにスペック表を修正しました。
ファインダー倍率についての記述に誤りがありました。お詫びの上訂正いたします(0.76倍→0.70倍に修正)。
2022年8月4日
画像を追加、差し替え。
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