Leica(ライカ)M4/使いやすいクラシックライカの完成形
カメラファンのあこがれ、M型ライカを中古で買うとしたら、Leica M4(ライカM4)という選択肢はいかがでしょうか。
すべてのカメラの頂点、M型ライカ。
M型ライカを時代によって2つに分けることができるとしたら、1970年代前半が分岐点になるといえるでしょう。
1950年代、60年代、ライカはまさに世界を制したカメラでした。
しかしながら、1970年代に入ると日本製カメラに追い上げられ、ライカは迷走期に入ってしまうのです。
Leica M4(ライカM4)は、1967年というまさにライカの爛熟期に発売されたカメラ。
M3やM2の仕上げはそのままに、モダンな機構を適度に取り入れ、クラシック感と操作性の良さを兼ね備えています。
まだぎりぎりクラシックの範囲に入る中古ライカならM4がおすすめ。
完成度の高いM型ライカ、M4こそ、実用ライカの最高峰といえるかもしれません。
今回は、中古フィルムカメラ専門店、サンライズカメラのスタッフがライカM4について紹介します。
目次
Leica M4(ライカM4)
まず、ライカM4というカメラについて、スペックや性能を紹介していきます。
ぜひ中古で探すときの参考にしてみてください。
ライカM4の特徴・スペック
1967年に発売されたレンジファインダーカメラ、ライカM4。
M3、M2の不便な点を改善したカメラです。
形式 | 機械式レンジファインダーカメラ |
シャッター速度 | B、1秒〜1/1000秒 機械式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | なし |
ファインダー倍率 | 0.72倍 |
ファインダー枠 | 35mm、50mm、90mm、135mm |
レンズマウント | ライカMマウント |
巻き上げ | レバー式、1ストローク |
巻き戻し | クランク式 |
製造年 | 1967〜1975年 |
一般に、ライカM4はライカM2を改良し、135mmのブライトフレーム(ファインダー枠)を追加したものとされています。
ファインダー枠は同じ0.72倍。
M2と同じく、広角レンズの使用に強いファインダーを搭載しています。
もちろんファインダーの見えの良さ、レンジファインダーの合わせやすさはそれまでのM型ライカと同様。
仕上げの良い金属ボディの質感とあいまって、ライカを使う快感を存分に味わうことができますよ。
シャッターの性能は他のM型ライカと同じ、最高速1/1000秒です。
ライカM4の外観をもっとも特徴づけているのが、やはり、ボディ肩部に取り付けられた巻き戻しクランクでしょう。
それまでのM3やM2では、巻き戻しはノブによっていました。
一説によるとクランクでは巻き戻しが早すぎて静電気が生じるのを嫌ったともいわれていますが、1960年代、すでに日本製をはじめとする35mmフィルムカメラでは、クランク巻き戻しが当たり前になっていました。
この効果は絶大で、迅速なフィルム巻き戻しを実現しています。
さらに細かい部分としては、当時一般的になってきていた、巻き上げレバーへのプラスチック指当ても追加されています。
Ernst Leitz Wetzlarの刻印
伝統的なM型ライカの形態を保ったライカM4。
じつはボディ上部の刻印も重要なポイントです。
戦前のバルナックライカからずっと続いてきた、Leicaの細い文字と、Ernst Leitz Wetzlarの刻印。
実はこのライカM4は、いわゆるM型ライカの形状に、伝統の刻印が施された最後のカメラなのです。
もちろん、次の機種Leica M5(ライカM5)にもこの刻印は施されています。
しかしライカM5は、それまでのM型ライカとはまったく異なる見た目のカメラです。
今でこそ中古で人気が復活していますが、当時はまったくユーザーに受け容れられませんでした。
そして1970年代のライカの迷走のなかでドイツ・ウェツラーの工場での生産は終了。
M4の設計を流用したM4-2や、1984年発売のLeica M6(ライカM6)など、その後のM型ライカから、この刻印はなくなってしまったのです。
M5を除けば最後のErnst Leitz Wetzlar。
伝統の刻印を味わえるのは、ライカM4を中古で手に入れるときの大きなポイント。
ライカM4はライカの伝統を味わえるカメラでもあるのです。
Leica M4(ライカM4)の各部画像
Leica M4(ライカM4) クローム
Leica M4(ライカM4) ブラックペイント
Leica M4(ライカM4) ブラッククローム
ライカM4の遺伝子
そんなライカM4は同時に、ライカのもっとも厳しい時期を支えたカメラでもあります。
Leica M4-2(ライカM4-2)
1975年にライカM4そのものは生産を完了しましたが、翌年の1976年、ライカM4-2がリリースされます。
ライカM4-2は基本的にはライカM4のマイナーチェンジ版。
M4にはなかったホットシューが装備されるなどの改良が施されました。
当時のカメラファンからは、小改良に留まったことなどを酷評されもしましたが、M6の登場までライカを支えたのは、このM4-2にほかなりません。
Leica M4-2(ライカM4-2)の各部画像
Leica M4-P(ライカM4-P)
1981年にはさらに改良されたM4-Pが発売されます。
ボディ色はブラックとシルバー(クローム)があります。
M4-Pではファインダー枠に28mmと75mmを追加。
レンジファインダーの強みである広角レンズの使用がさらに便利になりました。
Leica M4-P(ライカM4-P)の各部画像
そしてM6へ
そして1983年。
ライカM4から設計の多くを受け継いだライカM6が発売され、徐々にライカは冬の時代を脱していくのです。
ちなみに、M4-2やM4-Pは、ここで紹介したような経緯があってか、中古の価格は比較的低めです。
もしできるだけ安くM型ライカを中古で探すなら、視野に入れてみると出物があるかもしれませんよ。
※後述しますが、2020年代に入り、M型ライカの中古相場はこの記事を最初に書いた際とは大きく変化しています。
M型ライカについては、ぜひこちらの記事もご覧ください。
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ライカM4 中古購入のポイント
それでは、そんなライカM4を中古で購入するとしたらどんなことに気をつけるとよいのでしょうか?
中古購入時のポイント
ライカM4の中古は、M3やM2に比べると依然、少し高めの値段を保っています。
(M3やM2は状態によっては10万円以下の中古品も存在しますが、M4は10万円台後半が中心です)
それだけに、中古購入時にはボディにアタリがないか、ファインダーにクモリはないかなど、状態チェックを十分に行うようにしましょう。
オーバーホール済みの個体を中古購入するのもおすすめです。
2022年追記:近年の中古価格について
2010年代後半から、M型ライカの中古相場は大きく変化しています。
中古価格が上がっていることもそうですが、Leica M6やLeica M4-2、Leica M4-Pなど比較的年代が新しい機種の方が上がり幅が大きいのがそれまでの傾向とは大きく異なるところ。
下手をすると、Leica M4よりもM4-2やM4-Pのほうが高くなっていいる場合さえあります。
2024年4月現在、Leica M4の相場はブラックペイントで外観に使用感があと光学や動作になにかしら不具合があっても100万円前後はします。
クロームボディで30-40万前後になっています。シルバーボディは20万円台で購入は可能です。
その点でいうと、この記事で主に紹介している、銀色のボディのLeica M4(無印)はお買い得で気軽(?)に使えるM型ライカだといえるかもしれません。
M4には広角レンズが似合う
M2以来の0.72倍ファインダーを受け継いだライカM4。
それだけに、レンズはやはり広角が似合います。
ライカ純正の中古レンズならズミクロン35mm F2やズミルックス35mm F1.4。
国産レンズを選ぶなら、フォクトレンダーのカラースコパー35mm F1.5や、28mmならM ROKKOR 28mm F2.8もよいでしょう。
フォクトレンダーなら中古の価格も安めです。
ベトナム戦争の戦場カメラマンは、望遠はニコンF、広角はM型ライカと使い分けていたといいます。
プロが使っていた組み合わせを彷彿とする、M4と広角のペアで風景を切り取るのは至高の瞬間。
2台の中古フィルムカメラで60〜70年代の写真家を気取ってみるのも楽しいですよ!
Leica M4で使えるカメラ用品
露出計のないフィルムカメラの使用にあたっては、アクセサリーシューに取り付けられる露出計を使用するのがおすすめです。 中国製の小型クリップオン露出計としては以下のものが。多彩なL39マウントを使用するためのL-Mリング(マウントアダプター)もおすすめです。
伝統とモダンが同居したM4
このように、Leica M4(ライカM4)はライカ全盛期の最後を飾ったM型ライカ。
M型ライカらしい仕上げの良さと、各所に施されたモダンな気配りが同居しています。
M3のファインダーやM6の露出計などM型ライカにはそれぞれ魅力がありますが、M4の魅力は、そのまとまりのよさ。
中古のM型ライカを探すなら、実はおすすめの機種だといえます。
実用によし、愛でるにもよし。
ぜひあなたにとって最高の一台をみつけて、中古フィルムカメラを楽しんでくださいね。
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更新履歴
2022年8月3日
執筆時からのM型ライカの中古相場の変化にともない追記。
M4、M4-2、M4-P各機種の各部画像を追加。
2024年4月8日
2024年現在の各種M4の中古相場を追記しました。
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